女性主導スタートアップは
より多くの女性を採用し、目のつけどころが違う

 女性主導のスタートアップが資金を調達できた場合、その企業が成功する確率は高い。女性主導型スタートアップは「最終的により高い収益を生み、投資額1ドル当たりの収益は2倍以上である」ことを、ボストン コンサルティング グループの分析結果は示している

 考えられる理由の一つとして、投資家側の抵抗が強いからこそ、格別に優れた事業計画が不可欠になることが挙げられる。また、資金調達までの困難なプロセスが、女性主導型スタートアップのレジリエンス(再起力)と適応力という起業家に欠かせないビジネススキルを磨くのに役立っているとも考えられる。

 いずれにせよ、女性が経営する企業が経済全般にもたらす貴重な恩恵は、高いROI(投下資本利益率)にとどまらない。女性が経営する企業は、より多くの女性を雇用するのだ。

 起業家の成功を加速させるために設立されたプログラム、カウフマンフェローズの分析によると、女性が創業したスタートアップの場合、雇用する女性の数が2.5倍多い。創業者に加えて経営幹部にも女性がいるケースでは、6倍に上る。

 女性の雇用はいま、かつてないほど必要とされている。女性がこぞって労働市場から退出し、働く意欲があっても失業者数に含まれていない人々の大半を占めているからだ。

 女性主導の企業が経済回復に不可欠である理由は、これだけではない。過去1年の出来事が、社会とビジネスの両方に存在する不平等を浮き彫りにした。『ジャーナル・オブ・アントレプレナーシップ・アンド・オーガニゼーション・マネジメント』誌に掲載された研究によれば、女性が経営する企業は社会貢献に目を向け、従業員と好ましい関係を築く可能性が高いことがわかった。

 しかし、女性が経営する企業に対する支援を促す声がどれだけあっても、投資家の考え方を変えるにはまだまだ足りない。