フォートナイト
この巨大なゲームプラットフォーム――そして共通体験のキャンプファイア――は、3億5000万のアカウントを擁する。2020年12月の年末イベントは1530万人の同時参加という最多記録を達成し、さらに340万人がユーチューブとツイッチで視聴した。
同社は人口属性データを公表していないが、親会社エピック・ゲームズのグローバル・パートナーシップ担当ヘッドであるネイト・ナンザーは「14~24歳が当社の中心層」と言う。
フォートナイトはブランドとの統合における先駆者だ。パートナーシップのほとんどは厳しく精選され、人間的な触れ合いを重視したものであり、このプラットフォームでの主要プレーモードの一つ「バトルロイヤル」の中で展開される。
例として、マーベルとナイキはカスタムスキン(プレーヤーのゲーム内アバターの外見を飾るコスチューム)と、自社の限定商品をゲーム内に登場させた。
2021年1月には、フォートナイトは世界各地のサッカークラブとのコラボレーションを展開。世界23チームのユニフォームを購入可能なカスタムスキンとして登場させ、アバターの「エモート」機能(例:ブラジル選手のペレがゴールを決めた時にやる有名なガッツポーズを真似ることができる)と、特別トーナメントの参加者への報酬を提供した。
ブランドは、フォートナイトの「クリエイティブ」というモード内でもユーザーと関わることができる。人気急増中のこのモードでは、プレーヤーは自分の島をつくり、友だちを招待して一緒に過ごすことができる。eスポーツ会社のハンドレッド・シーブズ(100 Thieves)は、ここにロサンゼルスの本社を細部まで再現した。
プレーヤーはここでさまざまなクエストを体験し、隠された「イースターエッグ」を見つけ、施設を訪れた自分の写真を撮るとフォートナイトのアイテムを報酬として獲得した。クリエイティブモード内で、ブランドにオリジナルな体験を演出・構築してもらう機会を増やすことを、フォートナイトは長期的に目指していると、ナンザーは言う。
ロブロックス
1日のアクティブユーザー数3700万人、マルチプレーヤーゲームと体験を2000万も擁するロブロックスは2004年に創設され、目立たぬうちに強力な共通体験のキャンプファイアとなっている。米国では9~12歳のうち3人に2人以上がロブロックスのユーザーだ。
同社のマーケティング兼デジタルシビリティ担当バイスプレジデントを務めるタミ・バウミクによれば、比較的簡単に使えるゲーム作成ツールが豊富にあるおかげで、多くのゲームは初めてゲーム作成に触れるユーザーによってつくられ(子どもも含む)、彼らは友だちを招いてプレイする。
とはいえ、年長者(つまりミレニアル世代)のユーザーも引き付けている。「当社のプラットフォームが発展を続けるにつれ、自然に年齢も上がっていきます」とバウミクは言う。
ロブロックスは複数のブランドに対し、プラットフォーム上で独自のゲームと体験を構築することを認めている。ワーナーブラザーズとDCコミックスは2020年夏、『ワンダーウーマン』のゲームを制作した。プレーヤーはプラットフォーム内のデジタル通貨である「ロバックス」を使って、自分のアバター用にワンダーウーマンのアクセサリーを購入できる。
ユーチューバーとして大人気のライアン・カジは12月、ロブロックスで独自のバーチャルワールドを立ち上げ、グッズも販売している(ロブロックスのユーザーは2020年、ロバックスに総額19億ドルを費やし、2019年から171%増となった)。
2021年はこうした連携をたくさん試行し、規模拡大を図る年になるだろうとバウミクは見込んでいる。これまでロブロックスは「皆さんの想像以上に多くのブランドをお断りしてきました」という。彼女のチームは、コミュニティのメンバーたちへのアンケートを通じて、どのブランドにプラットフォームへの参加を認めるかを決める。
最も大事な要因は、ブランド側がユーザーに宣伝臭を感じさせず、自然に統合された体験を築くことだとバウミクは言う。「Z世代はとても聡明です。わずらわしさや偽物らしさを感じさせる体験は許容しません」
ディスコード
ディスコード(Discord)は2015年、ゲーマー同士でテキスト、音声、動画のメッセージを通じてつながり合うための場として始まった。2020年12月時点で月間アクティブユーザーは1億4000万人、うち70%は完全にゲーム以外の目的か、またはゲームとその他の目的の半々で利用すると回答している。ゲーム以外のカテゴリーで人気なのは料理、ストリートファッション、美容などだ。
ディスコードは典型的なマイクロコミュニティのキャンプファイアである。誰でも参加できるが、「サーバー」と呼ばれる個別のコミュニティとつながるには招待を受ける必要がある。
最高マーケティング責任者のテサ・エラゴネスによれば、ディスコードのサーバーのほとんどは200人未満であり、それによって親密感が醸成され、今日のZ世代が望むつながり方が再現されるという。「生身の人たちと一緒にいるという感覚を、実際に持てるのです」と彼女は言う。
ディスコードは広告を受け入れていない。ブランドは通常、自社専用のサーバーを立ち上げるという方法でプラットフォームに現われる。一例としてNBAのサクラメント・キングスは、選手、放送解説者、チーム運営幹部とのライブ配信によるQ&Aセッションを開催した。
ほかにも複数のブランド統合の実験が進んでいる。たとえば、ユーザーはディスコードとスポティファイのアカウントを連携でき、友だちが聴いている音楽をチェックしたり、一緒に音楽を聴いたりできる。
こうしたブランド・コラボレーションに関するデータや指標を同社はまだ公開していないが、エラゴネスは大きなチャンスと捉え、さらに増やす計画が進んでいると語った。