筆者らはこの疑問を解消するため、コロナ禍以前に、フルタイムで働く成人151人を対象に連続15日間、1日3回にわたって調査を行った。

 調査対象者には、その日に職場でどの程度雑談をしたか、そして自身のポジティブ感情(親近感、自尊心、感謝の念)と集中力について質問した。さらに毎晩、ウェルビーイングのレベルと向社会的行動をどの程度行ったかを報告してもらった。

 調査の結果、雑談で気分が上向くことも、気が散ることもあることがわかった。ふだんより多く雑談した日には、よりポジティブな気持ちになり、バーンアウトする度合いが低かった。また、多少無理をしても同僚の助けになりたいと思う気持ちも強かった。

 それと同時に、自分の業務に対するやる気や集中力が低下したと感じ、そのために他者を手伝う能力が制限されていた。

 ただし、相手の気持ちを読みながら会話を調整することに長けたグループでは、雑談で気が散るという回答が少なかった。また、親密さや長さを欠いた会話でも、雑談の恩恵が得られることもわかった。

 全体としては、雑談がもたらすポジティブな側面がネガティブな側面を上回り、しかもネガティブな側面はコントロールできることが明らかになったといえる。

 企業がコロナ後のリモートワーク戦略を検討する中、雑談を職場のエコシステムに組み入れるような慣習が必要だろう。幸いにも、バーチャル環境は、雑談の価値を高める思いがけない機会を秘めている。筆者らは前述した調査に基づき、マネジャーと従業員に以下の通り、アドバイスしたい。