
新型コロナウイルス感染症が終息しても、コロナ前の働き方に完全に戻ることはなく、リモートワーカーが増加することが予想される。企業はコロナ禍の経験を活かして、リモートワークやハイブリッドワークが常態化する未来の働き方を設計しなければならない。すなわち、オフィスワークを前提とした会社の制度やマネジメント慣行を見直す必要がある。本稿では、それぞれの検討を進める際に重要なポイントを示す。
コロナ後にリモートワーク化が進むという点では、ほぼすべての予測が一致している。要するに、圧倒的大多数の企業で、コロナ前よりもリモートワークが拡大すると予想されているのだ。
コロナ禍での行動制限が緩和されるのに伴い、企業のリーダーは、自社にとって最適なリモートワーク戦略を決定する必要がある。2020年の前半に突然、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてリモートワークへの移行を余儀なくされた時とは異なり、今回は自発的かつ計画的に働き方の転換を進められるはずだ。
しかし、PwCの最近の調査によると、その調査対象となった米国の133人の企業幹部のうち3分の1近くは、コロナ後のリモートワークに関する方針を「流れに任せる」としか述べていない。
筆者らは企業リーダーに対して、単に事業活動を「平時に戻す」のではなく、コロナ禍のリモートワークの経験を活かし、未来のリモート型もしくはハイブリッド型の働き方を意識的に設計するよう勧めたい。リモートワークに関する方針や慣行を戦略的に検討すべきだ。会社組織を率いるリーダーも、小さなチームを率いるリーダーも、そのための計画立案を始めたほうがよい。
筆者らがこれまで取り組んできた学術研究、そして幹部教育とコンサルティングの経験から言うと、リーダーたちが下さなくてはならない重要な決定は、大きく2種類に分けられる。1つは会社の制度に関わるもの、もう1つはマネジメント慣行に関わるものだ。本稿では、それぞれの領域で新たに生まれつつある重要なトレンドを紹介したい。