
仕事と子育ての両立には「綱渡り」の日々が待っている。あまりにも多くの物事に対処しなくてはならないため、子どもと向き合う時間が持てないことも少なくない。限られた時間を有効に使うには、子育てを戦略的に考え、厳格な優先順位をつけるアプローチが欠かせない。子どもの人生に最大の付加価値をもたらすために、親として直接関与すべきことは何か。逆に、他の誰かに任せても大きな影響が出ないことは何か。戦略性の高低、必要な関与レベルから優先順位を見直し、自分の時間を子どものため、そして自分自身のために取り戻すための方法を紹介する。
仕事と子育ての両立が難しい状況で、そのバランスを取ろうとする時、「綱渡り」という表現がよく使われる。その根底には、この問題を解決するには、妥協とマルチタスキング、そして理解ある会社を選ぶことが必要だという考えがある。
しかし、妥協には限界があり、マルチタスキングは大きな疲労が伴う。さらに、誰もが柔軟で理解ある会社に出会う幸運や機会に恵まれるわけではない。仮にそうした会社を選んだとしても、仕事固有の要求の高さ、あるいは誰が昇進できて、誰の役割が余剰で、誰が昇給を認められるかという現実によって状況は変わりうる。
そこで、子育てに関してもっと戦略的に考え、さまざまなニーズに厳格な優先順位をつけるアプローチが必要になる。親として自分がやらなければいけないことは何か。子どもの人生に最大の付加価値をもたらすものは何か。どうすれば、子どもが幸せで精神的に安定した大人に成長するか。親が直接関与しなくても大きな影響が生じることなく、他の誰かに任せられることは何だろうか。
こうした問いに対する答えは、働く親によって異なるだろう。だが、子育てという作業は、その戦略性や親が直接関与する必要性に基づいて、4つのタイプに分類することができる。
(1)教え導く役割:子どもに知的および情緒的に関与する。
(2)意思決定:子どもにとって何が最善かを判断し、問題を解決して、トレードオフを調整する。
(3)ロジスティクス:子どもの送迎、宿題をするよう促すこと、意思決定の実行、アクティビティの企画。
(4)家事サポート:料理、掃除、洗濯、雑用など、家庭運営に必要なすべてのタスク。
有効性のある子育てに関する研究や原則のほとんどが、ロジスティクスと家事サポートについては親の直接関与を大幅に減らす必要があることを示している。これらについては罪悪感を抱くことなく、友人やベビーシッター、他のサポートに安心して任せることができる。
教え導く役割と意思決定は、必要とされる時間は少ないものの(週6時間程度)、子どもに最大のポジティブな影響を与えうるものだ。とはいえ、ロジスティクスや家事に時間を割いてしまうと、子育ての戦略的側面に力を入れたり、自分のキャリアを高めたりするのに必要な時間やエネルギーが枯渇してしまう恐れがある。
だが、優先順位を見直せば、自宅にいる時間で最大限のインパクトを生み出しているという確信を得ることはできる。その方法を以下に紹介しよう。