●ロジスティクス

 ロジスティクスには、子どもが学校や習い事に行ったり、社会的行事に参加したりする際の計画立案、実際の送迎、スケジュール管理が含まれる。あなた自身が働く大人としてコミットしているのと同様だ。

 意思決定の結果を実行に移す側面も大きい。たとえば、子どもをスイミングクラブに通わせると決めた場合、誰かが必要な道具を揃え、スケジュールを管理し、月謝を支払い、送り迎えをしなくてはならない。

 予定を詰め込みすぎると子どもに大きな負荷がかかり、逆効果になりうることは一般に知られている。課外活動を管理する親にとっても、負担が増す。そうならないためには、子どもにとって最重要で一番楽しめる活動を優先すること。それでは、さまざまな機会を逃してしまうのではないかと心配になるかもしれないが、それはやめよう。

 加えて、家族や友人、親同士のローテーション、バスの送迎サービスなど、ロジスティクスに関するサポートは、できるだけ多く確保すること。また、そうしたアレンジをする際には、教え導く要素が含まれる可能性があるものを優先する。

 たとえば、放課後の習い事に通うために、子どもがある程度まとまった時間車に乗っている場合、日常のさまざまな話を聞くことができるから、自分で運転をしたほうがよいと考える親は多い。だが、アート教室からサッカーの練習場まで車で10分移動するだけなら、友人に頼むこともできる。子どもが同じ習い事をしている親なら、なおさらだ。

 ●家事サポート

 これは子育てで最も戦略性の低い側面だが、驚くほど時間を消費する。『ニューヨーク・タイムズ』紙は最近、親が家事に費やす時間は1日6時間半であることを示した。

 このうち付加価値の低い部分を削減して、教え導く役割にエネルギーと時間を確保する、あるいは子どもと一緒に行う活動に変えることが極めて重要だ。子どもは家事を手伝うことで責任を学び、総じて人生でより大きな成功を手にする

 家事の負担はできるだけ減らしたほうがよい。拡大家族や友人の助けを得たり、お手伝いを雇ったりしてもよいだろう。さらに、なくしても構わない家事や回数を減らせる家事を見極めること。人からどう言われるだろうかと心配してはいけない。

 特に、母親として成功していると感じるために「きちんと片付いた家」を維持しなくてはならないという社会的プレッシャーは大きい。だが、汚れた食器が一晩シンクに放置されていても、トラウマになる子どもはいない。

 家事を家族全員で一緒に行うアクティビティに変えて、子どもの能力に関する自分の考えを変えよう。子どもが決められた家事を担当する、規律ある環境をつくることが大切だ。

 筆者のある友人は自分の子どもに、「家事は自分の片付けをすることではなく、家庭のためにやることだ」と言い聞かせている。まだ小さい子どもでも、毎日ペットに餌をあげることはできる。10歳前後の子どもなら、週1度、全員分のタオルを洗濯機に入れる役割を任せられるだろう。すでに運転免許を持っているティーンエイジャーには、牛乳など必需品の買い物を定期的に頼むことができる。

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 重要な物事を考えられる余裕を持つために、親は自分の時間の使い方と注意の向け方に、厳格な優先順位をつける必要がある。親が料理や雑用で疲れていたら、子どもが学校で嫌なことがあった時に落ち着いて話を聞いたり、仕事で重要なプレゼンに集中したりすることは難しい。

 手づくりの食事やきちんと片付いた家という考え方は素晴らしいが、散らかったリビングでピザのデリバリーを取った夜でも、質の高い子育てを実践する環境をつくることはできるのだ。


HBR.org原文:How Working Parents Can Strategically Prioritize Their Time, April 15, 2021.