基本ルールの実行

 チームメンバーを招集して仕事に着手する時には、個人請負労働者と社内のプロジェクトメンバーの両方に明確な合意事項と基本的な行動ルールを示し、遵守させる。

 たとえば、どのような情報を、誰と、どのくらいの頻度で、どのようなフォーマットで共有するか。ミーティングはいつ、どのようなアジェンダで開くか。全員に提供されるツールとファシリティは何か。シニアエグゼクティブやクライアントと会うのは誰か。対外的に、フルタイム従業員と個人請負労働者は同じ組織の一員と称するか、あるいは所属が異なることを明示するか。

 これらの問いに答えるには、2つのシンプルなガイドラインを念頭に置くことが欠かせない。

 第1のガイドラインは、リスクに基づいて判断することだ。フルタイム従業員であれ、個人請負労働者であれ、あなたがプロジェクトに加えた人物は、あなたの代理人である。十分な仕事ができるだけの情報とツール、アクセスが与えられるべきだ。

 しかし、もし特定の情報またはツールが、権利や機密性の問題からフルタイム従業員以外の人とは共有できない場合、情報提供を差し控えるか、プロジェクトの一部を別扱いにすることが理にかなっているかもしれない。

 それでも、個人請負労働者が持つスキルの専門性がプロジェクトの成功には不可欠である場合、スキルの劣る社内の人間だけで仕事を進めて質の低い結果につながることのほうが、機密情報やツールを外部にさらすことよりリスクが高いかもしれない。

 第2のガイドラインは、たとえフルタイム従業員と個人請負労働者で適用されるルールが違っても、2階層システムをつくらないことだ。さもなければ、チームとしてのパフォーマンスが低下し、緊張と怒りが生じる恐れがある。

 エグゼクティブに会うのは社内の人間に限定する必要がある場合、同僚である個人請負労働者が正当な称賛を与えられるようにしなくてはならない。

 同様に、会社のオフィスにプロジェクトの本拠が置かれている場合、個人請負労働者がカフェテリアやジム、駐車場などの従業員用施設を利用できるようにする。こうした福利厚生を提供する限界費用は最小限であり、チーム開発に与えるポジティブな影響を考えれば、補って余りあるだろう。 

 会社のミーティングや特別な出張から個人請負労働者を除く必要がある場合、あるいは労働法により異なる処遇をする必要がある場合、その理由をきちんと説明する。

 そして、フルタイム従業員と個人請負労働者それぞれの立場の有利な点と不利な点、そしてそれぞれの立場のトレードオフについてよりよく理解できるように、チームメンバー全員と協力する。いずれも、誰もが望む形でプロジェクトを成功させるために欠かせないものだ。

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 自社組織と外部から最高の人材を集めることは、プロジェクトの成功に直結する当然の戦略に見える。だが、それが成功するのは、社内のメンバーと社外のメンバーでは異なる管理方法が必要なことを、あなたが気づいた時だけだ。


"A Fair Way to Lead a Team of Contractors and Full-Time Employees," HBR.org, April 22, 2021.