
新型コロナウイルスの感染拡大で保育園や学校が閉鎖されると、働く親たちは大打撃を受けた。女性に対する影響は顕著で、労働時間を短縮したり、退職を余儀なくされたりした人も少なくない。こうした問題を放置するのは、企業にとって得策とはいえないだろう。企業が従業員の子育て、特に育児を支援することは、ビジネスインフラを構築するうえで不可欠である。本稿では、働く親の労働環境を整えるための4つの施策を紹介する。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、学校教育と利用者負担の有料子育て支援という勤労者世帯のセーフティネットが取り去られた時、そのダメージはすさまじいものだった。ビジネスのインフラの一部である安定した子育て支援形態が失われ、世界中の働く親の大多数にとって、世界は機能しない場所になってしまった。
米国の労働人口の3分の1に当たる推定5000万人の労働者には、家族に14歳未満の子どもがいる。筆者らは研究者として、専門家として、そして母親として、家庭が就労に関する決断を下す時に育児がどんな役割を果たすか、そして何より、その選択が働く親のニーズについて何を示唆しているかを調査したいと考えた。
筆者らは働く親2500人を対象とした全国的なパネル調査を行い、20%近くの人が、子どもの面倒を見てくれる人がいないという理由だけで、仕事をやめるか、勤務時間を減らさざるをえなかったことが明らかになった。何らかの補完的な育児支援サービスを利用できたのは、働く親のわずか30%であり、低所得の世帯と高所得の世帯とでは著しい格差があった。
育児が理由で仕事をやめたり勤務時間を減らしたりした親の40%は、母親と父親のどちらが子どもの世話をするかを決定した要因として、勤務時間の長さやスケジュールの柔軟性を挙げた。
衝撃的なことに(しかし正直なところなのだろう)、約3分の1の人は、どちらが子どもの世話をするかは「どちらがうまくやれるか」で決まったと回答した。一方、収入を決定要因として挙げた人は、4分の1未満だった。どうやら性役割は、いまだに家庭の意思決定に大きく関与しているようである。