(5)リモート参加者と感情面でつながる

 ハイブリッド・プレゼンテーションは、リモート参加者にとって受動的な体験である必要はない。リモートで参加していても、実際に会場に存在するかのように、話を聞いてもらえていると感じさせることが重要だ。

 そこで会議の始めに、バーチャル参加者に向けてみずから挨拶をする。そしてプレゼンテーション全体を通じて、彼らに話しかけたり質問したりして、関わり続ける。

 これは口で言うほど簡単ではない。プレゼンターがどれほど誠意にあふれていても、自然と会場の参加者に注意を向けてしまいがちだ。プレゼンテーションの中でリモート参加者に話しかける時間をあらかじめ決めておき、彼らに向けたメッセージをコンテンツに組み込んでおくのがよい。

(6)ハイブリッドコラボレーションを育む

 参加者を少人数グループに分ける場合、会場の参加者とリモート参加者を別々のグループにしたい誘惑に駆られる。しかし、そうしてしまうと、両者は別々のグループで、協力し合う1つのグループではないという意識を強化してしまう。そうではなく、リモート参加者と会場の参加者が混在するグループ分けをして、両者が協力し合うよう促す。

(7)短くまとめる

 ズームによって、プレゼンテーション中の無駄な時間は削られてきた。「せっかく会場に立つのだから、長時間話したい」という誘惑には抗わなければいけない。ハイブリッド・プレゼンテーションは、できるだけ簡潔かつ効率的に行う。会議時間は、リモート参加者のエネルギーレベルに基づいて決定する。結局は、誰もがそれをありがたく思うはずだ。

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 ハイブリッド・プレゼンテーションの利点の一つは、誰もが自分の好きな場所から参加できることだ。前述した7年生担当の教師は、これによってクラスのエクイティ(公平性)が向上し、どの生徒も自分が最高のパフォーマンスを発揮できる場所から学ぶことで、授業が豊かなものになっていると、筆者らに語ってくれた。

 このマインドセットは、彼の生徒にとってもビジネスリーダーにとっても、学ぶところが大きい。私たちは、ハイブリッド・プレゼンテーションという次世代に移行する中、彼を模範として、聴衆の一人ひとりにとってインクルーシブで活気に満ちた環境をつくり出せるよう努めたいものだ。


"How to Nail a Hybrid Presentation," HBR.org, May 05, 2021.