
どれだけ困難な仕事でも、同僚と協力し合い、目標を達成できた時には、満足感や喜びが得られるものだ。苦楽をともにした同僚との関係は、ずっと大切にしたいと思うかもしれない。だが、同僚として親しいからといって、それは友情とは異なる。組織で上を目指す時には、サバイバルゲームのライバルになるからだ。同僚があなたをどう認識しているかで、昇進機会が大きく左右されることさえある。本稿では、この複雑だが重要な関係に対処するための3つの戦略を論じる。
同僚はサバイバルゲームのライバルでもある
筆者はロースクールを修了するとすぐに、ある法律事務所のクラークシップ(就業体験)に参加した。全米各地から集まったのは7人。私たちはクラークとして長時間働き、仕事以外でも行動をともにしていた。
エントリーレベルの身分で、お金もないという同じ境遇の中、毎日のように通りの向こうのタコベルで一緒に昼食を取った。仕事が終わると、地元の安いバーで慰め合った。
だが、このような関係の裏には、暗い現実がくすぶっていた。10週間のクラークシップが終了した時点で、仕事のオファーをもらえるのは3人か4人しかいないとわかっていたのだ。私たちは同僚であると同時に、ライバルだった。
このようにストレスのかかる状況は、職場の同僚との関係でよくあることだ。そして、最高経営幹部のレベルに近づくほど、リスクも複雑さも飛躍的に増していく。矛盾をはらんだ、解けない難問のようなものだ。仕事を成し遂げるために協力する必要があり、仕事の満足感や喜びに影響を与える同僚こそが、サバイバルゲームのライバルでもあるのだ。
実は、職場は人との関係を強いられる数少ない環境の一つである。組織の目標を達成するには、友好的かつ効果的に協働する必要がある。また、もし上を目指そう、あるいは組織に長く留まろうとすれば、やがて同僚のほとんどが自分の上司か部下になるだろう。
では、このやっかいだが極めて重要な関係を、どうすれば上手に乗り越えていけるだろうか。本稿では、筆者のエグゼクティブとしての経験、そして現在のエグゼクティブのクライアントを支援するコーチとしての経験に基づいて、3つの戦略を紹介したい。