
消費者に充実したサービスを提供するために、企業は彼らの選択肢を増やすことが最良の戦略だと考えている。しかし、毎日何百もの選択を迫られる中で、消費者は何かを選ぶこと自体に精神的負担を感じるようになった。本稿では、顧客体験をよりシンプルにすることが求められるいま、マーケターがそれを実現するための4つのステップを紹介する。
現代の消費者は毎日、何千とはいわずとも何百もの選択に直面している。何を読むか。どこで買うか。何を買うか。そして、こうした決定の一つひとつが精神的負担を伴う。
にもかかわらず、マーケターは「より多く」(more)を推進し続けている。より多くの選択肢。より多くの製品。価格以上の価値。より多くの機能、情報、割引。
消費者への付加価値となる新たなテクノロジー、製品やサービスに投資するのは、悪いことではない。しかし、筆者らの研究によれば、シンプル化こそ、あらゆる面で最良の戦略である場合が多い。
筆者らは顧客の選好に関する数百の研究を対象に、包括的・体系的な文献調査を実施した。その結果、消費者にとっての優先事項はシンプル性であると報告する研究が、圧倒的多数を占めていた。
一例として、ブランド・コンサルティング会社の大手シーゲルゲールが9カ国1万5000人以上の消費者に実施したアンケート調査によれば、最もシンプルでシームレスな体験を提供していると見なされたブランドは、株価パフォーマンスと顧客のロイヤルティ(忠誠度)という両面でも最も秀でていた。
当然ながら、シンプル性と口で言うのは簡単だが、実行は難しい。とはいえ筆者らは、正式な研究、幅広いコンサルティング業務、顧客およびマーケターとの多くの対話を通じて、相互に関連する4つのステップを特定した。これらはあらゆる企業にとって、今日の顧客が求める円滑でシンプルな体験を提供するうえで役立つだろう。