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1776年7月4日は米国の独立記念日として広く知られているが、アフリカ系米国人の中には、黒人奴隷制度が撤廃された1865年6月19日こそが真の独立記念日だと考える人も少なくない。ブラック・ライブズ・マター運動を受けて、米国ではサウスダコタ州を除くすべての州において、6月19日が休日または祭日として認定された。企業はこの「ジューンティーンス」を単なる休暇としてとらえるのではなく、DEI(多様性、公平性、包摂)推進するチャンスに変えるべきだと筆者らは主張する。


 米国の南北戦争が事実上終結した2カ月後の1865年6月19日、最後の黒人奴隷グループが北軍によって解放された。したがって、この日を記念する「ジューンティーンス」は、黒人の歴史であるだけでなく、米国の歴史だ。

 この1年のブラック・ライブズ・マター運動の盛り上がりで、さほど知られていなかったこの記念日が、全米の多くの組織によって認められるようになった。

 全従業員に有給休暇を与える会社もあれば、ジューンティーンスの当日でも別の日でも、従業員が選んで使える有給休暇を1日与える会社もある。黒人の従業員リソースグループ(ERG)と協力してイベントを開催する会社もあれば、全従業向けの研修を開く会社もある。

 DEI、すなわちダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂)の研究者や実務者にとって、かつてはマイノリティにしか認識されていなかった歴史的な日が、広く認められ、大いに盛り上がっているのを見るのは感動的だ。だが、黒人をはじめとするPOC(非白人)従業員は、「いまさらか」とも思っている。

 企業はジューンティーンスを活用して、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンを大幅に推進することができると、筆者らは考えている。この日は、米国の黒人が味わってきた経験に対する理解を深め、インターセクショナリティ(交差性)に関する会話を生み出すきっかけになる。