●相互依存を高める
ワークショップやエクササイズは、質の高いつながりを即座に築く助けになるが、長期的には孤独の解決策にならない。
チームビルディングでよく行われる、悪名高き「トラストフォール」(仲間が受け止めてくれることを信頼して後ろに倒れ込む)などのエクササイズが、どのような運命をたどるか思い出してみてほしい。組織構造や報償制度に追加変更を加えない限り、チームビルディングのキャンプが終わってオフィスに戻ったとたん、新たに手に入れたはずのチームの絆は弱まってしまう。
出社勤務を完全に再開したり、在宅勤務を併用するハイブリッドワークを採用したりする中では、長期的なチーム育成に関する助言の多くが、依然として有効だ。
すなわち、チームのミッションを再確認する、明示的な交流規範を設定する、それらを継続的に実践する、チームで共通のアイデンティティを構築する、それぞれの役割やプロセスに透明性を持たせる、そしてメンバーの顔ぶれを安定させることで別のチームのメンバーとのスイッチングコストを減らすのだ。
これらのステップは、チームの有効性を高めるための強力な基盤になる。ただし、チーム内の人間関係をより深化させるには、さらなる構造改革が必要かもしれない。
ある金融企業のリーダーは、「この秋、ただ社交の時間を増やすだけでは、私たちが求めるレベルの深い人間関係を築くことはできないと気づいた」と語っていた。「チームの日々の業務にどうアプローチするかを考え直す必要がある」
人間関係を構築する時に検討すべきチームワークの重要な側面は、コラボレーションと社会的サポートだ。同時に仕事をしていたり、あるメンバーから別のメンバーにバトンを渡したりするだけでは、より統合されたコラボレーションによって真のつながりを築く機会を十分に持つことはできない。そうではなく、高いレベルの双方向性と、定期的なリソース交換やソートパートナーシップをもたらす仕組みを設計することだ。
たとえば、筆者は最近、出社勤務の再開方法に悩むヘルスケア企業のマネジャーに対して、実際に自分の部下が同僚や仕事についてどう思っているか、チームのパルスチェックを行うように勧めた。
驚いたことに、彼女の部下は個人的な仕事の成果には満足していたが、チームとしては孤立感や断絶感を覚えて、それが士気の低下につながっていた。彼女のチームは優秀な科学者で構成され、自分自身で仕事をすることに問題を感じていないはずだと、彼女は思い込んでいた。しかも、貴重なチームメンバーの1人が辞める可能性が出てきたことに慌てて、彼女はすぐにチーム運営の構造改革を検討した。
その一環として、チームメンバーが自分の研究内容を互いに共有し、発展させる機会を増やすことにした。メンバー同士の接触機会を増やすことで、人間関係を強化したいと彼女は願っている。最近、別のエグゼクティブが語ったように、「チームのよさは、その構成と同僚間で個人が受け取るサポートに比例する」のだ。