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最低賃金の引き上げを求める声が増えているが、それが企業の行動にどのような影響をもたらすかは不透明だ。雇用率に悪影響を及ぼすという指摘もあれば、影響はないとする見方もある。筆者らの研究によると、最低賃金を引き上げた場合、企業は勤務時間と勤務スケジュールを調整することで賃金コストの上昇分を節約するため、従業員の賃金が減少する可能性あることが判明した。


 米国では、最低賃金を時給15ドルに引き上げるよう求める声が増えている。すでに多くの州および地方自治体では、最低賃金引き上げの法案がこの数年間で可決され、連邦議会でもさまざまな法案が検討されている。

 しかし、このような政策が米国の労働者のウェルビーイングに与える長期的影響について、経済学者は確信を持てずにいる。最低賃金の上昇が雇用率に多少の悪影響を及ぼしたことを示す研究がある一方で、雇用に対するそのような悪影響は見られなかったという結論に至った研究もある。