CMOはなぜAIへの理解を
深めなければならないのか
企業のあらゆる機能の中でも、人工知能(AI)の最も大きな恩恵を受けるのは、おそらくマーケティングだろう。マーケティングは、顧客のニーズを理解し、それを商品・サービスと合致させ、購入を促すことが活動の中心となるが、これらのケイパビリティはいずれもAIによって劇的に高めることが可能である。2018年にマッキンゼー・アンド・カンパニーが400以上の先進的な事例を分析して、AIが価値創出に最も貢献する分野はマーケティングだという結果を示したのも不思議なことではない。
最高マーケティング責任者(CMO)らは、次第にこのテクノロジーを活用するようになっている。2019年8月の米国マーケティング協会の調査は、AI導入率が1年半でいっきに27%増加したことを明らかにした。そして、2020年にデロイトが行ったAIアーリーアダプター(初期採用者)に関する世界的調査によると、AI導入目的の上位5つのうち3つがマーケティングに由来するものだった。すなわち既存の商品・サービスの強化、新規商品・サービスの創出、顧客関係の強化だ。
AIはマーケティング分野に浸透してきたが、この分野全体でAIが果たす役割は数年のうちに、ますます大きくなると見込まれる。テクノロジーが秘める可能性を考えると、CMOは現在利用できるマーケティング用AIアプリケーションの種類と、それらがどのように進化するかを理解しておくことが非常に重要である。