●ピアデータを利用して、迅速な意思決定スキルを磨く
シャンのクライアントのあるリーダーは、3人の小学生の母親だ。2020年3月に学校が閉鎖になると、彼女(を含む6300万人の親たち)は大急ぎで新たな仕組みに転換しなければならなかった。
それ以来、突然の変更とそれに対応するための意思決定は日常茶飯事となった。しかも、ほとんどデータがない中、極めて短時間で判断を下さなければならず、瞬時の判断が長期的な影響を及ぼす可能性があるという現実に直面した。
何がどうなっているのか詳しい情報が得られないため、親はピアデータを集めて選択肢を広げた。つまり、自分以外の在宅勤務中の親に、それぞれ多忙を極める中で何をどのように行っているか聞くことで、未知の状況を乗り切る助けになったのだ。
職場に戻っても、状況を示す十分なデータがない中で、迅速な対応が必要とされることは多い。なかには、情報が限られているために動きが止まってしまったり、直感や過剰な合意形成に走ったりするリーダーもいる。
そこで、この1年の経験を活かしてピアデータ、すなわち他のリーダーが似たような状況にどう対処したのか、情報を集めよう。互いにアイデアを共有できるソートパートナーや、新たな視点を提供してくれるパースペクティブプロバイダーになりうる、エグゼクティブの仲間(ピア)たちのネットワークを社内外に広げて、既存の意思決定プロセスを強化し、加速することだ。