Illustration by Dominika Lipniewska

多くの企業がハイブリッドワークを導入しようとしているが、適切な環境が十分に整えられているとはいえない。オフィスを再開しても、一歩間違えば、これまで培ってきた組織文化やコラボレーション、さらにはイノベーションを妨げる可能性がある。在宅勤務者と出社勤務者のギャップを取り除き、シームレスなコラボレーションを促すには、新たな働き方に合わせてオフィスデザインを変化させることが欠かせない。本稿では、テクノロジーを駆使して物理的空間に柔軟性を与えることで、ハイブリッドワークを機能させるための4つのデザインアプローチを紹介する。


 新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、ほぼすべての業界に新たな課題と機会を生み出した。そして、経済活動が再開するにしたがい、競争は激しくなるだろう。

 その勝者になるのは、顧客ニーズを最も明確に理解し、コラボレーションによって複数の解決策を見極め、プロトタイプを作成し、イテレーションを行い、新しいアイデアを市場に届ける者だろう。これらの行動は、現代にふさわしい新たな職場に人々が集まった時、初めて生じるものだ。

 あらゆる状況を考える、未来の仕事はハイブリッドになる。米国では労働者の52%が、在宅勤務と出社勤務を組み合わせた働き方を希望している。そのほうが創造性や問題解決、そして人間関係構築にポジティブな影響があるというのだ。

 グローバル調査によれば、企業リーダーの72%はハイブリッドワークを提案することを計画し、今後1年間にオフィススペースの削減を予定していると回答したリーダーは13%にすぎなかった。これはつまり、組織は今後、ハイブリッドワークという枠組みの中で職場を活用していくことが示されている。

 だが、適切なハイブリッドワークというものは難しい。誰が、どの程度の頻度で出社するかを決めるのは複雑な問題であり、組織によっても異なるからだ。下手をすると、文化やコラボレーション、そしてイノベーションを妨げる可能性がある。逆に、職場でハイブリッドワークが適切に実行されれば、スタッフを結束させ、これまでになくよい仕事をする助けになる。

 職場が従業員と組織のレジリエンス(再起力)のためにデザインされていることは、自分たちの進歩と学習、競争力を維持する助けになると知る組織が、勝利を収めることになるだろう。

 その手始めに、米国企業の50%以上が2021年に出社勤務を再開するにあたり、新しいオフィスデザインを試すことを計画している。たとえば、ハイブリッドワークをより支援するために、オフィスに併設するカフェをエネルギーに満ちた社交とコラボレーション空間に変えるといった移行だ。

 筆者らは世界最大級の企業と協働する建築家、そしてオフィス家具デザイナーとして、ハイブリッド戦略を検討するリーダーに4つのデザインアプローチを勧めたい。