日米のステークホルダー主義は
似て非なるもの
編集部(以下色文字):米国の経営者団体ビジネスラウンドテーブルが2019年8月、「シェアホルダー(株主)至上主義」から「ステークホルダー主義」への転換を宣言して以降、それが大きな潮流となっています。この変化について、どうお考えですか。
西井(以下略):米国は株主至上主義への流れが極端なほどに強かったので、その揺り戻しが大きく出たととらえています。
一方で、日本は株主至上主義が米国ほど浸透していなかったですし、もともと従業員や取引先、地域社会といったステークホルダーに目配りしながら経営してきた企業が多かったので、いまさらステークホルダー主義への転換と言われても、「日本はずっとそうだった」と思っている経営者のほうが多いかもしれません。