気候変動問題に対する
企業の取り組みが期待されていない理由
1年と少し前、私は気候変動について講演するために、コロラド州からはるばるニューヨーク州のシラキュース大学を訪れる機会があった。その時、大学院生の参加者が一人もいなかったのでホスト役の教授に理由を尋ねると、「資本主義は破綻しているというのが学生たちの考えだ」と教えてくれた。
企業からは、気候変動問題に関して説得力ある提案がなく、信頼もできないため、話を聞こうとは思わないのだという。気候と公平性という、2つの喫緊の課題を解決するために企業が行っていることは、曖昧で見せかけの取り組みばかりであり、学生たちは、もはや何も期待できないと感じているのだった。
このことに愕然とした。私はサステナブルな事業の構築と執筆に25年の経験を持つ、企業の環境問題専門家として、学生たちと同じようにこの問題を憂慮している。私が働くアスペン・スキーイング・カンパニーでは、環境負荷を減らすため、自社事業の周辺にある問題に取り組むだけではなく、世界的なブランドとして影響力を行使し、環境負荷軽減に貢献することが自社の役割だと信じている。