ダノンCEOはなぜ解任されたのか
フランスの食品大手ダノンは2021年3月、エマニュエル・ファベール会長兼CEOを解任した。先頭に立って同氏解任を求めたのは、2020年末に同社株式を取得した物言う株主(アクティビスト)だったとの見方がある。
そのわずか数カ月前にファベールは、フランスが法で規定した新しい会社形態「使命を果たす会社」(Enterprise a Mission)を名乗り、パーパスを経営の軸に据える方針を示して、株主の承認を取り付けていた。ファベールの解任は「ダノンに見るパーパス経営の落とし穴」「パーパス経営の旗手、支持総崩れ」「資本主義の真髄をめぐる闘い」などと報じられた。
ファベールが解任された当時、ダノンは財務業績で同業他社に後れを取っていた。とはいっても、ダノンの企業文化と会社形態を変えようと尽力したファベールは、多くにとって、パーパス主導の企業を象徴する存在だった。事実、ステークホルダー資本主義の視点で見ると、ファベールはミルトン・フリードマンと対峙した雄々しい英雄だ。