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人種差別に対抗するために、組織がダイバーシティに関する方針を打ち出したり、社内で研修プログラムを実施したりすることは珍しくなくなった。だが、組織の多様性が高まれば、おのずと偏見がなくなるわけではない。多様性を強制された反動から、従業員の間に障壁が生まれることさえある。組織として重要なのは、異なる集団間の接触を強制するのではなく、偶発的遭遇をもたらす環境を意図的に設計することだ。それは物理的なオフィス空間はもちろん、デジタル空間にも欠かせない。本稿では、インクルージョンを高めるための空間デザインについて論じる。


 この1年間にわたって、個人組織が人種差別をなくすために、さまざまな戦略が提案されてきた。いずれも重要でタイムリーな戦略だが、その実行に対する白人の反動は、さらなる人種的分断の種を蒔くおそれがある。

 実際、組織のヒエラルキーにおいてトップの座を占めることが多い白人男性は、ダイバーシティ(多様性)に関する方針やメッセージを脅威と受け止める可能性が高い。このことは、組織内の不平等をさらに拡大しかねない。