
コロナ禍による外出自粛や在宅勤務によって、家族との過ごし方が変わったり、自身の健康に気を使うようになったりと、生活習慣が変化した人は少なくない。オフィスが再開し、出張で飛び回る生活が戻ってくるとしても、新たに身につけた生活習慣を別の形で維持することはできる。出張先でもヨガができるようにしたり、バーチャルで子どもに読み聞かせを行ったり、そもそも現地に足を運ぶべきかどうか見極めたりするのだ。本稿では、筆者が出張を控えていた1年の間に、家庭と仕事についてどのように考え、そこからどのような教訓が得られたかを紹介する。
一時期、定期的な出張など考えられないような、おかしな世界があった。
私を含め、子育てをしながら働くという限界に挑んでいる多くの人々にとって、出張は常にジレンマであり、ストレスの原因だった。
夫と私は、複雑に色分けされたグーグルカレンダーを共有し、それに従って生活を送っていた。飛行機の時間やホテルの情報などが書き込まれたそのカレンダーは、2人のうちどちらかが子どもの寝る時間までに帰宅するには、常に巧妙な交渉や調整が必要なことを物語っていた。
コロナ禍前まで、私は自分のことを「出張で各地を飛び回る企業戦士」だと思っていた。州外で開催されるリーダーシップ会議や各地に散らばるクライアントのために、私のコンサルティング業務には出張が欠かせず、ピーク時には年間30回、およそ80日間も家を離れていた。
真っ当な友人たちとは異なり、出張を断ることはなかった。パートナーが私よりも多く出張し、幼い子どもが2人いるにもかかわらず、だ。やりくりするのは、本当に大変だった。
しかし、出張はどうしても避けられないと思っていた。断れば、基調講演の機会や収入が損なわれるような気がした。この仕事をしながら、まったく出張せず、顧客と直接会って話をしないという状況は、想像できなかった。
そして、ご多分に漏れず、私の出張にも突然ブレーキがかかった。移動が再開されつつあるいま、私は自分の将来がどうなるのかを考え始めている。出張を休止したことは、家庭と仕事の両方について大いに考え直すきっかけになった。
そこから私が学んだ3つの教訓と今後実践しようと思っていることを、以下に紹介したい。