(3)回数を減らし、賢く出張する
コロナ禍の間も、さまざまな工夫によって研修やカンファレンスの開催が継続され、基調講演はバーチャルで配信された。バーチャルでイベントやカンファレンスを開催することは、今後も選択肢の一つになるだろう。
どのような場合、あるいはどのような理由ならば、会場に足を運ばず、バーチャルでイベントに参加することにするかを考えてみる。年に何回、業界の繁忙期であれば月に何回というように、出張の回数に上限を設けることになるかもしれない。
私たち夫婦は、コロナ禍の間に「出張のルール」というチェックリストを作成した。世の中が活動を再開して、再び定期的な出張が可能になった時に、どのような場合ならば出張する価値があり、どのような場合には価値がないかを判断するためだ。
以下に示す私たちのリストをそのまま使ってもよいし、自分の家族に照らして手を加えてもよいだろう。
●出張のチェックリスト「8つのルール」
私は以下の項目のうち、当てはまるものが1つ以上ある場合にのみ出張する。
(1)その期間に誕生日や休暇、学校の重要な行事がない。
(2)対面で出席するかどうかで、キャリアに大きな違いが生じる。
(3)3日以内の出張である。
(4)日帰り出張で、会議は日中にあり、フライトは3時間以内である。
(5)フライトが4時間から6時間以内である。
(6)出張まで2週間以上の猶予があるため、家族として計画を立て、それに合わせてスケジュール調整ができる。
(7)配偶者が夕食と就寝時に家にいられる。
(8)出張を兼ねた休暇の計画を立てる時間があり、子どもを連れていくことができる。
このルールのおかげで、私は地に足がつき、グラウンディングでいう「いま、ここ」を感じていられる。
だが、出張がなくて寂しくないといえば、嘘になる。特に、2021年5月に新著Digital Body Languageが発売されたばかりなので、各地へ出かけて、読者からのリアルタイムの反応を「読み取り」たくて、うずうずしている(画面を介しては非常に難しい)。
それでも今後は、コロナ禍前のように何週間も立て続けになる出張や、子どもたちの発表会や演奏会、試合を観に行けないような出張はしないつもりだ。
出張を再開する時には、その体験全体を楽しみたいと思っているし、家族の生活習慣を一新するよい機会にしたいとも思っている。出張とバーチャルイベントのバランスが改善することを願っている。
そして何より、今後も自分のビジネスを成長させ、自分がどこにいようと、家族と充実した時間を過ごす心づもりはできている。
"What I Learned from a Year Without Business Trips," HBR.org, August 04, 2021.