●行動するが、待ち伏せはいけない

 ネガティブ感情を溜め込んだままにすると、タイミングの悪い時に制御不能な行動を取ってしまう可能性が高い。

 それゆえ、同僚が会議で少々気に障る発言をした時には、それについて話をする場を別に設けるか、ある程度時間が経ってから慎重にアプローチすることだ。そうすれば、当初の感情的な反応からは距離を置いて、何をどう伝えるかを慎重に考えることができる。

 ●対決ではなく、対話を目指す

 いら立ちが最高潮に達する前に、早い段階で対処すれば、全面的に対決する形を取らずに、自分の気持ちに対処する戦略を講じることができる。

 たとえば、冷静に感情を制御できている時であれば、相手の問題行動を指摘するだけで(「あなたはXと言いました」)、個人的な資質を持ち出すことはないだろう(「あなたのような人はいつもXと言います」)。また、自分の主張を全面に出すのではなく(「Xにはうんざりしています」)、緩やかに対話を始めることもできるだろう(「Xについて、少しお話できたらと思うのですが」)。

 また、相手の視点に立ち、状況を理解するための質問を投げかけることで、相手は自分が批判されているのではなく、みずからの見解を聞いてもらえると感じることができるだろう。

 真に探求すべきは、それが実際に「たいしたこと」なのか、相手に悪気はないという自分の思い込みが本当にそうなのかを、ていねいに調べることだ。

 たとえば、「あなたがなぜ、そのことをしているのか理解したいので、手を貸してくれませんか」、あるいは「これについて、あなたのデータか理由づけを教えてくれませんか」といった聞き方をしてみる。

 結局のところ、相手が本当に善意であったなら、純粋な質問に対して善意だったことを示す反応をするはずだ。そうでない場合、いつまでも相手の善意を信じようとするのは間違いであり、自分が行動を起こさない口実にすぎない。

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 感情反応の引き金になることすべてが、対策を講じるべきものとは限らない。だが、本当に「たいしたことではない」なら、そもそも「たいしたことではない」と自分に言い聞かせることはないだろう。問題に対処するか、無視するだけだ。

 したがって、こうした状況が起きた時には、それに気づくことを学ぼう。そして、本当に「たいしたこと」になってしまう前に、物事に対処することだ。


"The Problem with Saying "It's No Big Deal"," HBR.org, August 20, 2021.