
ハイブリッドワークの導入が進み、リモートと対面で部下をマネジメントすることになったマネジャーは、頭を抱えているかもしれない。特に、内向型の人はリモートワークを好み、反対に外交型の人には社交や刺激を求めてオフィスに出社したがる傾向が強く、チーム全体のエンゲージメントや生産性、幸福度を、単一の方法で維持するのは至難の技だ。そこで重要なのが、内向型であっても外向型であっても、全員が自分らしく参加できるコミュニケーションの仕組みとデジタル環境を用意することだ。それを実現するための3つのベストプラクティスを紹介する。
人との交流が減り、自主性が求められる機会が増えたこの1年余りの間、内向型の人ならば、リモートで働く生活を謳歌したに違いない。
一方、外向型の人の場合には、在宅勤務で生産性が低下し、いら立ちが募り、オフィスに存在していたモチベーションを高める外部刺激を再現するのに苦労したのではないだろうか。
では、ハイブリッドモデルではどうなるのか。内向型の人はリモートワークを好み、外向型の人はオフィスに戻りたがる傾向がある中、どうすればチーム全体のエンゲージメント、生産性、幸福度を維持できるのか。
内向型と外向型のどちらも有効にハイブリッドワークへ移行させるために、筆者がマネジャーにお勧めしたいのが、分散型の高業績チームを対象とした10年以上にわたる研究とコンサルティングに基づく、3つのベストプラクティスだ。
(1)内向型の人に時間と場を与える
出社して働く従業員と在宅勤務の従業員がいる場合、特にチームミーティングでは、内向型のメンバーの影が薄くならないように注意することが欠かせない。
内向型の人は、発言の途中で声の大きい人にじゃまされると、二度と発言しようとしなくなることがある。こうしたことが繰り返されると、特にリモートで仕事をしている場合には、やる気をなくしたり、疎外されていると感じたりしかねない。
ハイブリッド会議では、バーチャルで参加しているメンバーを見落としやすく、会話に含めるのを忘れがちになる。
メンバー全員に意見を出してもらうのは、マネージャーの役割だ。チャットバーや挙手機能などのツールを利用して、発言を指名制にし、会話に割り込む前には5~10秒待つ練習をする。事前に質問を送っておけば、全員が準備する時間の余裕を持つことができる。
また、会議終了後に、それぞれの意見や感想をメールで送るように促したり、グーグルドキュメントを作成して全員で情報共有できるようにしたりするのもよいだろう。
このように、非同期で参加できる機会を提供すれば、大勢の前で発言するのをためらうような内向型の人でも、自分の意見を表明することができる。