(2)外向型の人には対話の時間を与える

 外向型のメンバーが人とのつながりを感じられずに悩んでいると気づいたら、定期的に対面会議やビデオ会議を設定し、あなたと直接話ができるようにする。

 また、スラックやズームのブレイクアウトルームの利用を奨励することで、外向型の人が自分のアイデアを披露する機会を持てるようにすれば、チームの全体会議が彼らの独壇場にならずに済む。

 オフィスに復帰した外向型の人には、偶然の出会いやおしゃべりを楽しむ「ウォータークーラー・モーメント」の復活を促すことだ。調査によれば、リモートワークへの移行期に人々が最も残念に思ったのは、このように人と交流し、関係を築く活動が失われたことだった。

 外向型の人にとっては、そうした時間が1日の中で自然に人とつながる機会となり、マネジャーはそうした人の輪に入ることで、社内で実際に起きていることを把握できる。また、チームメンバー間の仲間意識や士気、信頼関係を築くことにもつながる。

 外向型の人が全員、オフィスに復帰するわけではないと認識することも重要だ。

 在宅勤務のメンバーを社会活動から除外しないためには、ズームを利用したランチチャットやハイブリッドのハッピーアワーをはじめ、任意で参加できるハイブリッドなチームボンディング・イベントの企画を増やすことだ。対面とオンラインのチームメンバーが、15~30分の食事をともにするハイブリッドランチは、交流を促す新たなカフェテリアになっている。

(3)多様なコミュニケーションスタイルを奨励する

 筆者が新刊のDigital Body Languageで書いたように、まとまりのあるチームをつくることはマネージャーの責務だ。

 しかし、それは全員にまったく同じコミュニケーション方法を強いることではない。そうではなく、異なるコミュニケーションスタイルに合わせた場所を用意することで、誰もが自分に合った方法でコミュニケーションできるようにすることだ。

 たとえば、筆者のクライアントである大手ゲーム会社のシニアバイスプレジデント、ブラッドの例を挙げよう。彼によれば、直属の部下であるアリーとデイブがそれぞれ運営管理しているスラックチャンネルは、見た目もまったく異なるという。

 外向的な性格を自認するデイブのスラックチャンネルは、絵文字やGIF、ミームで埋め尽くされている。一方、内向的な性格のアリーのチャンネルでは、箇条書きが多用され、よりフォーマルな文章スタイルを取っている。

「アリーのスラックチャンネルは、私にもしっくりきます」と、ブラッドは話す。だが、デイブの世界観にもすぐに馴染んだという。「もし彼に『会社らしさ』を強要すれば、彼のチームの活気や意欲を削ぐことになるでしょう」

 そして、「たとえ違和感があっても、彼のインフォーマルなデジタルボディランゲージを理解しようと努力することが、私にできる最善のことだと学びました」と付け加えた。

 絵文字と箇条書きとの間にコミュニケーション手法としての優劣はなく、どちらのアプローチも有効だ。リーダーにとって重要なのは、さまざまなコミュニケーションスタイルを醸成し、それを奨励するデジタル環境を構築することで、全員が自分らしく参加できる仕組みを用意することだ。

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 チームメンバーが外向型か内向型か、またはそのあいだのいずれに属するかにかかわらず、1年前、一夜にしてバーチャルワークに移行したことで、誰もが居心地の悪い環境に適応せざるを得なくなった。私たちは、距離を補うためにさまざまな妥協を強いられ、その過程で多くを学んだはずだ。

 そこで得られた教訓を活かすことで、オフィスに復帰し始めるメンバーとリモートワークを続けるメンバーが混在し、長期的にハイブリッドワークモデルへと移行するいま、私たちはより大きな力を得て、職場のインクルージョン(包摂)を高めることができる。


"Managing Introverts and Extroverts in the Hybrid Workplace," HBR.org, August 19, 2021.