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エコフレンドリーな会社であることを目指し、多くの企業がさまざまな取り組みを行っている。高級ブランドも例外ではない。だが、公正な労働慣行を採用したり、再生材料やオーガニックな材料を使用したりといった伝統的なアプローチは、高級ブランドには当てはめることが難しい。そこで筆者らが提唱するのが、高級ブランドのオーセンティシティ(真正性)を強調する戦略だ。本稿では一連の実験調査の結果に基づき、高級ブランドがみずからのオーセンティシティを示唆する方法を論じたうえで、マーケターが実戦すべき3つのアプローチを紹介する。


 2018年にアクセンチュア・ストラテジーが35カ国3万人の消費者を対象に行ったグローバル調査によると、回答者の約3分の2(62%)が、倫理的価値の高いブランドを魅力的だと感じると答えた。

 これは高級ブランド業界にとっては、頭の痛い問題だろう。一般に、高級品は虚栄心を満たすための浪費であり、環境にもダメージを与えると見なされるからだ。著しく人工的あるいは装飾的な商品は、特にそうだ。

 企業の倫理的なイメージを改善する伝統的なアプローチ、たとえば、公正な労働慣行を採用したり、再生材料やオーガニックな材料を使用したりする手法は、高級ブランドには使えない可能性がある。

 そもそもマーケターは、サステナビリティのメッセージが、環境を利用したイメージアップの小道具と見なされないように、適切なシグナルを送ってエコフレンドリー企業であることを慎重にアピールする必要がある。

 過去の研究では、高級ブランドがCSR(企業の社会的責任)に取り組むことについて、消費者はネガティブに評価する可能性があることもわかっている。別の研究では、エコフレンドリーな高級ブランド品は非サステナブルな高級ブランド品に比べて、地位を向上させる社会資本が乏しいと消費者から受け止められる可能性があるようだ。

 そのうえ、環境に重点を置いても、高級ブランドは非高級ブランドと差別化できる余地は乏しい。むしろ非高級ブランドのほうが、サステナビリティについては以前から積極的だったからだ。

 我々は、もっと興味深い戦略を提案したい。オーセンティシティ(真正性)を強調するのだ。

 この提案は、さまざまなカテゴリーの高級品(腕時計、香水、デザイン家具)の顧客1900人以上を対象に、筆者らが最近行った研究に基づくものだ。その結果は、なぜ、そのようにすることで、高級ブランドがみずからの倫理的意識を消費者に伝えられるのかに関する洞察を与えてくれる。

 ブランドは、どうすれば自分たちのオーセンティシティを示唆できるのか。筆者らの研究結果を詳しく論じる前に、それを考えることから始めたい。