●「なぜ」と「なぜいまか」を明確にする

 なぜ、自分は転職したいのか。その理由がわかると、最終的な目標に意識を集中できるようになる。それによって、自分のキャリアの「探索」、そして自分の道を自分で選ぶ「エンパワーメント」という視点から職探しに入ることができる。

 その結果、転職活動のための時間や余裕を見つけようという意欲が湧き、その余地が怒りや不安で埋め尽くされて、身動きできなくなるのを防ぐ。「なぜいまか」を明確にできれば、最初の一歩を踏み出すための行動を起こすきっかけができる。

 ●現在の状態と目指す状態をイメージする

 座って目を閉じる。新しい仕事にワクワクしていた自分、あるいは現在の仕事に満足している自分の姿を、頭の中で視覚化する。どのような感情が湧いてくるだろうか。そのイメージのどの部分に興奮するだろうか。そこにいる人々や、その仕事は好きだろうか。

 次に、現在の仕事について考える。別の感情が現れるだろうか。いまの仕事に足りないもの、あったらよいと思うものは何だろうか。

 最後に、理想の仕事が見つかった時の感情をイメージする。そのエネルギー、興奮、エンゲージメントを受け入れ、身体全体で感じてみる。新しい仕事のどの部分がそう感じさせるのだろうか。

 このような視覚化を通じて、自分にとって何が大事かを判断し、そのイメージから生じる感情を受け入れると、苦しい転職活動の途中で気落ちすることがあったり、思っていたよりも長期戦になったりしても、最後までやり通す力を得られる。

 疲労困憊した時や、誤った思い込みに囚われそうになった時には、この手法を使おう。

 ●計画を立てる

 未知への恐怖、あるいはどれだけ時間がかかるのか先が読めなかったり、自分自身がどうしたいかがわからなかったりする時の不安は、転職活動の勢いにブレーキをかけてしまう。

 だが、最初に計画を立てて、それに従って入念に進んでいけば、ステップごとの達成感からエネルギーを得られるはずだ。

 最初に、どれくらいの時間を転職活動に充てようと思っているか、または実際に充てることができるかを見極め、日ごと、あるいは週ごとに設定した時間を守る。そのほかにも、1日の中で15分の時間を2箇所確保し、個人のメールやリンクトインをチェックし、リクルーターへの返信や面接のスケジュール管理のために空けておく。

 もし可能であれば、毎日もう少し時間を取って、転職活動のために机に向かう直前に、何か自分が好きなことをやれるとよい。運動やダンスをしたり、『ワンダーウーマン』の主人公さながらに仁王立ちしたり、あるいは家族と過ごしたりする時間にするのもよいだろう。そうすることでエネルギーが湧き、安らぎや幸福感に包まれ、生産性を上げる準備が整う。

 次に、行動予定をつくる。いつ、何をするのか。履歴書や職務経歴書の準備はできているか。リンクトインのプロフィールを更新する必要があるか。あるいは自分の経験を面接で話せるようにまとめておく必要はないだろうか。オンライン応募には、どれだけの時間がかかるか。毎日、転職活動用に空けておいた時間に何をやるべきか、明確にしておく。

 最後に、力を借りたい相手を見極める。転職活動に使える時間を増やすために、家事の分担を軽くしてもらえるようパートナーに頼む必要があるかもしれない。職探しに集中するために、その時間にじゃまが入らないように境界を設定する必要があるかもしれない。