Illustration by Daniel Creel

チームが優れたパフォーマンスを上げるためには、「自律性」「コンピテンス」「関係性」という3つの心理欲求を満たすことが重要である。ただし、組織が従業員同士の関係に関与することは容易ではなく、他人とつながりたいという関係性の欲求を満たすことはとりわけ難しい。筆者らの調査により、ハイパフォーマンスチームが実践し、従業員同士のつながりを深めるうえで有効な5つの施策が判明した。


 素晴らしい職場やパフォーマンスの高いチームを構築するには、3つの心理欲求が肝心であると、研究者らは以前から認識している。自律性、コンピテンス、関係性だ。何十年にもわたる研究の結果、人は心理的に満たされていると感じると、より健康幸せになり、生産性も向上する傾向があることがわかっている。

 この3つの重要な欲求のうち関係性、つまり他人とのつながりを感じたいという欲求は、組織にとって最も養いにくいものだ。優秀な人材を惹きつけることはできても、どうやって従業員同士を親しくさせることができるだろう。

 新型コロナウイルスは、人と人との関係性を育むことをいっそう困難にした。在宅勤務によって多くの人が働く時間と場所を自由に決められるようになり、自律性が高まった。その一方で、同僚との物理的な距離が生じたことにより、個人的に親密な結びつきを築くことが非常に難しくなっている。

 しかし新しい研究では、ハイパフォーマンスチームは、パンデミック下でも社会的つながりを巧みに活用し、成功をうながしていることがわかった。研究結果は、リモートワークやハイブリッドワークの環境であっても、組織が人と人とのつながりを促進して、よりパフォーマンスの高いチームを生み出すうえで重要なヒントを提示している。

 イグナイト80の筆者のチームは今夏、コミュニケーションソフトウェア会社のフロントと共同で、米国のオフィスワーカー1106人を対象に調査を行った。目的はシンプルで、ハイパフォーマンスチームは何が違うのかを明らかにすることだ。

 ハイパフォーマンスチームのメンバーを特定するために、回答者には、(1)自分のチームの有効性を評価する、(2)自分のチームのパフォーマンスを同じ業界の他チームと比較する、という2つを実施してもらった。両方の項目でみずからのチームを10点満点中10点と評価した従業員をハイパフォーマンスチームのメンバーとし、彼らの行動を他の人々と比較した。

 では、ハイパフォーマンスチームは何が違うのか。調査では、5つの重要な違いが明らかになった。いずれもチームパフォーマンスの原動力として、従業員間の緊密なつながりが重要な役割を果たしていることを示している。