●ハイパフォーマンスチームは頻繁に感謝し合う
関係性の欲求が仕事のパフォーマンスを向上させる主な理由は、価値ある意見を持つ人たちから評価され、感謝され、尊敬されることで、それを実感できるからだ。評価が金銭的インセンティブよりも強力な原動力となるのは、そのためである。
調査では、ハイパフォーマンスチームのメンバーは職場で感謝される頻度が高かった(同僚からの感謝は72%高く、マネジャーからの感謝は79%高い)。重要なのは、彼らは同僚に感謝を「伝える」頻度も高い(44%高い)ことだ。最高のチームでは、感謝はトップダウンではないことを示唆している。仲間同士の交流の中で見られる文化的な規範なのだ。
●ハイパフォーマンスチームは職場で自分を偽らない
筆者らの調査では、ハイパフォーマンスチームのメンバーは、同僚に対してポジティブな感情を表現する傾向が顕著に強かった。チームメイトを褒めたり、冗談を言ったり、からかったりすることがよくあると答えている。メールでは感嘆符や絵文字、GIFなどをよく使っている。
しかし、興味深いことに、彼らは職場でネガティブな感情を表現する傾向もあった。チームメイトをののしったり、不平不満や皮肉を言ったりしていたのだ。
なぜ職場でネガティブな感情を表現すると、よりポジティブなパフォーマンスが得られるのか。それは、ネガティブな感情を表現しなければそれを抑制することになり、抑制は認知的なコストがかかるためだ。他人に対して感情を隠そうとすると貴重な認知リソースが費やされ、仕事をするための精神的な力が失われる。
先行研究では、自分を偽らないことが職場のウェルビーイングと個人のパフォーマンスに貢献することが明らかになっている。筆者らの研究は、それがチームのパフォーマンスをも向上させることを示している。
言うまでもなく、職場でネガティブな感情を表現することが有用でない、あるいは適切でない場合もある。今回の結果が示唆しているのは、同僚に自分の感情の振れ幅を示せるほどチームメンバーが心理的安全性を得られていれば、チーム全体のパフォーマンスが向上する傾向があるということだ。
要するに、筆者らの研究が示しているのは、ハイパフォーマンスな職場をつくるには、ただ適切な人材を雇用し、仕事に必要なツールを用意するだけでは不十分であるということだ。真正で、偽りのない人間関係を構築する機会を設けることが必要だ。
チームメイト同士の親密なつながりを促進するのに、資金や時間をかける必要はない。よりよいコミュニケーションと生産的な会議、深い友情を生み出すシンプルで根拠のある方法を取り入れることで、どんな職場でも、人の基本的な心理欲求である関係性を高め、チームのパフォーマンスを向上させることができる。
"5 Things High-Performing Teams Do Differently," HBR.org, October 21, 2021.