この時期をチャンスにしよう

 イエズス会創設時の世の中は、私たちの世界と幾分似たように、複雑性が増し、急速な変化が進んでいた。インターネットを通じてグローバルなつながりが新たに築かれているのと同様に、イグナチオの時代にはグーテンベルクの印刷機が思想の拡散に革命をもたらし、航海による発見を通じて欧州、米大陸、アジアの間に恒久的なつながりが確立された。

 今日では、社会における企業と政府の役割に関する伝統的な考え方に対し、疑問が呈されている。同様にイグナチオの時代にも、既存の宗教制度に対する反発があった。その筆頭は、ローマカトリック教会を批判するプロテスタント改革派だ。

 さまざまな混乱の渦中、イグナチオは新型コロナウイルスではなく砲弾に撃たれ、職と庇護者とキャリアを失った。それでもなお、ラテン語で炎を意味する「ignis」が由来の名を持つこの男は、自分のパーパスを再燃させることで不確実性をチャンスに変えた。そして、よりよい人間になり、世の中に貢献したのである。

 パンデミックが続く中、この機会を活かして6つのCを強化し、自分のパーパスを掘り下げることを、あなたにも強くお勧めしたい。イグナチオの最も有名な助言をいくつか挙げておこう。

「すべては自分次第というつもりで行動せよ。すべては神次第というつもりで信じよ」「笑い、強く成長せよ」「行け、世界に火を灯しに」


"Reigniting Your Purpose in the Wake of the Pandemic," HBR.org, October 25, 2021.