●連帯感を強める

 マッキンゼー・アンド・カンパニーが最近実施した調査によると、従業員が退職する最大の要因は、評価されている(言い換えれば、自分と自分の仕事が重要視されている)と感じないことと、帰属意識の欠如だ。組織の連帯感が欠けていたのだ。組織の連帯感とは、強いつながりを築き、パーパスを共有することで、互いの疑問が生じないようにすることである。

 クロスファンクショナルな関係では、長い間会っていなかったり、話していなかったりすると、特に連帯感を形成するのが難しくなる。筆者らはあるクライアントの組織で、パンデミックの間に1つの部門で大きな変化があったため(組織の構造や人材、役割が変化した)、全員が参加する包括的な再研修を実施した。

 リーダーたちは、全員に公平な機会を与えなければ、信頼関係を築くのにあまりに時間がかかりすぎることを認識した。そこで、2日間にわたり全員が順番に発言する対話セッションを行い、「2度目の初対面」のために集まった参加者たちは、次の5つの事項に対する回答を持ち寄った。

1. パンデミックが始まってから、自分の中で最も変化したことは何か。
2. ハイブリッドな形式による職場復帰に最も不安を感じていることは何か。
3. このチームが発揮すべき能力として最も期待しているのは何か。
4. このチームで成功を収めるために自分が必要な支援は何か。
5. チームメンバーの成功に自分が貢献できると思うことは何か。

 組織にとって、感動と驚きに満ちた心温まる2日間だった。特筆すべきは、定年まで雇用が保障されている従業員から、長年一緒に働く同僚を新たな視点で見ることができるようになった一方で、新しい同僚との信頼関係が促進されているというコメントが多く寄せられたことだ。

 ある参加者はこのように言った。「他部署と仕事をする際、私は常に最悪の事態に陥ることを想定してきた。しかし、自分に対してあれほどの献身を示されたので、彼らを信頼しなければならないと思った」。このような結果は、クロスファンクショナルな関係性がより強固に築かれると、信頼に値する行動を取る確率が6倍になるという、筆者の15年間の縦断研究の成果を裏付けるものだ。

 どのような形であれ、従業員を職場に復帰させる際には、チーム内だけでなく、チームと組織の主要なパートナーとの関係をリセットするために時間を費やすことだ。この機会に、対立するクロスファンクショナルなパートナーとの関係は捨て去り、弱いつながりを強化して、新たなスタートを切ろう。