●リーダーシップ開発のコホートを構築する

 クロスファンクショナルなコラボレーションの健全性を決定付ける根本的な要因は、リーダーシップの質である。協働で物事を成し遂げようとするチームに対して、リーダーシップを発揮できるかどうかにかかっている。

 クロスファンクショナルなパートナーシップを最も強固に築けるリーダーは、共感力、好奇心、対立を収拾する力を備え、部門を超えて共通の成功を生み出すことを純粋に願っている。しかし、このようなリーダーシップスキルは、過度に階層的な環境で働く結果志向のリーダーであればなおさら、自然に身につけられるものではない。

 強力で一貫性のあるクロスファンクショナルリーダーを育成するには、リーダーシップ開発のコホートに参加させることが最も近道だ。

 筆者らは十数の組織で、6~12カ月間にわたり自己学習と自己形成をともに実践する、12~16人のリーダーのコホートを構築している。各部門が共通の成果を達成するために必要な、主要なスキルや知識に焦点を当てたものだ。最近では、ハイブリッドな職場におけるリーダーシップのあり方を再考する内容にした。

 少人数から成るサブチームでは、組織に付加価値をもたらす戦略目標に即したプロジェクトを実行し、2人1組の「ピアコーチ」が毎週ミーティングを行い、特定の開発分野に関するフィードバックやアドバイスを交換する。このようなコホートの取り組みで形成された関係は、何年にもわたって深く続いている。

 リーダーたちを「ニューノーマル」に戻す際には、彼らの成長に投資し、コホートの学習コミュニティを確立することで、リーダー同士を結びつけ、組織の目標を共有するようにうながす必要がある。そうすればリーダーたちは、新たに得られた広範な指針を自然にチームに伝達し、チームはクロスファンクショナルな同僚とより効果的につながるようになる。

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 職場のあり方を模索するこれからの1年は、組織の中で最も重要な人間関係、すなわち単一のチームでは得られない成果や結束力をともに築き上げるような関係を取り戻し、再構築する素晴らしい機会となる。この機会を無駄にしてはいけない。


"Rebuilding Relationships Across Teams in a Hybrid Workplace," HBR.org, November 10, 2021.