(4)人とのつながりを優先する

 自分の仕事を脇に置いて、若手との──そして若手同士の──人間関係の構築に時間を回そう。その効果は、彼らの組織に対する一体感を高めるだけに留まらない。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックの最中に行った筆者らの研究では、社会的つながりが生産性にも極めて前向きな影響を及ぼすことが示された。世界中のブルーカラーもホワイトカラーも、「同僚との良好な人間関係」の構築を、仕事に付随する他の多くの特性よりも重視している。

(5)従業員と彼らの家族のケアに投資する

 従業員にメンタルヘルスのリソースを提供し、コロナ禍で各自が払ってきた犠牲に感謝し、小さな子を持つ親には保育やその費用を提供し、有休を増やそう。もちろん、どの程度のサポートが必要かは人それぞれだが、必要なものはすべて提供すればいい。

(6)柔軟な働き方を受け入れる

 場所、時間、職務内容、キャリアパスの観点から柔軟な労働環境を提供するのが、未来の職場の形である。それを受け入れ、さらには従業員から成るチームに未来の働き方を創造してもらおう。「ドリームハウス」の建築に携わった人は、そこに住みたくなるものだ。

 なお、柔軟性という意味では、「資格」の基準についても柔軟に考えるべきだ。想定する人物像に合致しない候補者がいるとしよう。その人物が、あなたの求める条件の75%を満たしているなら、すぐに採用すべきだ。

 テック業界の巨人であるIBMでは、米国内の求人の半数以上で4年生大学の学位を必須としていない。履歴書で多少見劣りしたとしても、適切なマインドセットとサポートがあれば、不足しているものを学ぶことは可能だ。

 オフィスの空席と止まらない離職の波を前にしても、諦める必要はない。必要なのは断固たる行動である。それも、いますぐに。


"6 Strategies to Boost Retention Through the Great Resignation," HBR.org, November 15, 2021.