4. 聞く姿勢を持つ

 会議のリーダーにとっては、話を聞くこと、そして聞いているように見えることが重要な価値を持つ。その理由は、対話が不可欠である一方で、思いやりが深く、同僚の貢献に感謝している人物という印象も与えたいからだ。積極的に話を聞き、また積極的に話を聞いていると態度で示すための手軽なコツを紹介しよう。

・話を聞く時は常に聴衆のほうに顔を向け、視線を直接合わせ続けること。バーチャルミーティングでは、参加者が映っている画面ではなくカメラに目線を合わせる。

・うなずく仕草で、聞いていることを示そう。うなずきは「あなたの話を聞き、その内容を信じています」というメッセージを伝えられるため、相手への支持を示す最も効果的な方法だ。

・相手の話を聞く時間を、自分が次に何を話すかを考える時間にしてはいけない。相手の話を十分に聞いていなかったせいで質問を誤解してしまうと、あなたの信用と信頼に傷がつく。

・話し手の言葉を遮ったり、相手の結論を代わりに話してしまったりという行為は慎むべきだ。結論を代弁することで相手の主張への賛同を示しているという考え方もあるが、たとえそれが事実であったとしても、相手の時間を奪い、相手の主張を流用していることには変わりがなく、失礼に当たる。

・即座に自分の意見を述べたり、解決策を提示したりする前に、発言者に質問し返すことを検討しよう。たとえば、「あなたの話を正確に理解できたか確認させてください。特に金曜日に会議が多すぎるとおっしゃいましたが、本当にそうでしょうか」。このように承認の意を力強く伝えることで、信頼を築き、共感を示すことができる。

・最後に、オープンマインドを保ち、自己防衛に走りたくなる衝動を抑えよう。会議は対話の場であり、ディベートの場ではない。そのため反論するのではなく、まずはチームの視点を理解することに集中すべきだ。

 5. 質問を用意する

 エグゼクティブが自身のチームと対話を行う際には、探りを入れる質問を投げかけることで学習効果を高めることができる。

『ハーバード・ビジネス・レビュー』の論考"Being a Strategic Leader Is About Asking the Right Questions"(未訳)の筆者であるビジネスアドバイザーのリサ・ライは、「あなたはなぜ、いまの仕事をしているのか」「我々のチームにとっての成功とはどういうものか」など戦略に関する質問をすることで、リーダーはチームに対してより戦略的な思考をうながせると論じている。

 また、手元に質問を用意しておけば、出席者からなかなか質問が出ない場面や、誰かが場を和ませる必要のある場面で、会話の隙間を埋めることも可能になる。

 リーダーがすべき質問は、いくつかのタイプに分けられる。

 ●戦略に関する質問

・「あなたは何を実現したいと思っているのか」
・「そのアプローチを会社全体にどう応用できるだろうか」

 ●評価に関する質問

・「このプロジェクトに協力したのは誰か」
・「どのようにしてそのアイデアを思いついたのか」

 ●サポートに関する質問

・「私が手伝えることはあるか」
・「そのプロジェクトを次のレベルに進めるために、必要なリソースは何か」

 6. 脱線は手短に

 突然アイデアが浮かんだり、その場にいる誰かから提起されたりして、話の流れと関係ないことを話したくなる時があるかもしれない。ソーシャルメディアの活用法について話していたかと思ったら、次の瞬間にはお気に入りのインスタグラムの有名人の話題に移っていた。このような脱線が長く続くと、貴重な時間を浪費し、他の人たちも上の空になっていくので非常に危険だ。

 ほとんど、またはまったく関係のない話題に触れたい場合は、素早く「乗り降り」して、伝えたいポイントにすぐに話を戻そう。