●マラソンランナーではなく短距離走者になる
ばかばかしいと思うだろうか。しかし、考えてみてほしい。マラソンランナーはペースを抑えて走らなければならない。全力で走れば数百メートルで崩れてしまうだろう。
短距離走者であれば、どのレースにも100%の力を投入できる。自分の見えるところにゴールラインがあるからだ。ゴールに到達したら立ち止まって一歩下がり、休息を取り、エネルギーを補給することができる。
人間はエネルギーの消費と再生を繰り返している時、最も活発に働く。すなわち睡眠と運動は健全性を維持するうえで、最も強力な源泉のうちの2つだということになる。十分な睡眠(一部の人を除き7時間から8時間の睡眠)を取ることが、身体を回復させるカギだ。特に心拍数を大幅に高める運動が、精神的・感情的な回復に有効である。
●自己判断ではなく自己観察を行う
特に困難な時期においては、誰もがそれぞれに苦しい闘いを強いられている。その時に内なる批評家が表れて、自分は「劣っている」と感じてしまうのは、自己判断である。そして、自分が「優れている」と感じようとして、判断の対象を他者に向けがちだ。
この両極を行き来するために、自分は終わりのないトレッドミルを走っているように感じる。自分に価値があることを証明しようと、いつまでも頑張り続け、そのために自分や他者を犠牲にしてしまうことが少なくない。
このような感情が湧き上がってきたことに気づいた時は、自己判断をせず、その感情をただ観察しよう。筆者らが最近、あるクライアントから言われたように、「内なる批評家の声が聞こえた瞬間、笑いながら自分にこう語りかけるようにしています。『また言っているな』と」。
●つらい時であっても、それがすべてではないと覚えておく
筆者らはトリガーを、ネガティブ感情を引き起こす「誰か」もしくは「何か」だと定義している。誰にでもトリガーが引かれることはあるが、その時は深呼吸をして、身体のどこに緊張を感じているかを確認する。緊張に気づくだけで、自分自身の反応からある程度の距離を置くことができる。
次に、身体の比較的穏やかでリラックスしている場所に意識を向ける。ストレス感情が体を巡っている時、そのような場所を見失いやすい。相対的に穏やかな場所に意識を向けることが、慰めやバランスを取り戻すための強力な力になる。