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気候変動問題が深刻化する中、企業や科学者はこの解決に向けた議論を交わし、具体的な行動を起こし始めている。一方で、ビジネススクールの対応は遅れている。しかし、ビジネススクールにも積極的な取り組みが求められるだけでなく、その強みを活かせば問題解決に大いに貢献できるはずだ。本稿では、ビジネススクールとして貢献可能な6つの領域を紹介する。


 国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)では、政府の指導者およびNGOに加えて、ビジネス界と学術界からの参加者も目立ち、多くの科学者とCEOの姿がはっきりと見て取れた。しかし、気候変動対策をめぐる対話の中で、あるグループの不在が際立っていた。ビジネススクールである。

 気候変動の兆候は40年以上前から現れているが、この緊急かつ実存的な問題への認識と対応において、ビジネススクールは遅れている。

 その一因として、政治的な懸念がある。一流校の多くは、気候変動が政治問題化されている米国にあり、この問題に正面から取り組みにくいのだ。

 経営学者たちも、自分にはその資格が十分にないと感じているのかもしれない。気候変動は、ビジネススクールに見られる典型的な学識分野には含まれていない。

 さらに、ビジネス分野の教授と学生の関心を引き付けなければならないという、競争上の切実な課題がある。特にデジタルトランスフォーメーションやAI(人工知能)などは、経営学者に快適さをもたらす研究領域だ。

 しかし、これらは言い訳にはならない。私たちビジネススクールは、マネジメントプラクティスの改善という使命を担う組織として、ビジネス界で気候変動に対する問題意識を高めるために、そして気候変動がもたらす課題に企業と経営陣がどう対処できるのかを示すために、はるかに多くの取り組みを行う必要がある。我々が貢献できることは、たくさんあるのだ。