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コロナ禍による混乱はいまも続き、企業がニューノーマルに向けたさまざまな取り組みを進める一方、人々はトラウマを抱えたまま苦しんでいる。人間の脳は、最初の「ショックの段階」は何とか乗り切ろうとするが、「苦痛の段階」に入ると本物の痛みを感じるようになる。コロナ禍がすぐには収束しないことが判明した時期のことだ。その後も不確定な情報に踊らされ、ゴールが近づいたり遠ざかったりして見える中、心理的苦痛も長期化してきた。完全回復に向かうためには、最後の「リハビリの段階」で無理をせず、徐々に前進することが欠かせない。本稿では、最終段階で心得るべき3つのポイントを論じる。


 ランニングを始めてから数分後に、それは起きた。山道の草の生え際に沿って、ペースを上げながら走っていた時、左足が窪みの縁にかかり、足首を捻挫してしまったのだ。

 激しい痛みで、ショック状態に陥った。アドレナリンの大量分泌から始まる一連の代謝現象である。過去の進化の名残として、捕食者から逃れるためにエネルギーをいっきに爆発させるのだ。アドレナリンには、それ以外にもさまざまな作用がある。危険から脱するために痛みを感じなくさせたり、瞬時の判断力を高めるために警戒心を高めたりする。

 もちろん、このようなショック状態は、身体的な怪我だけでなく、心理的なトラウマによっても引き起こされる。コロナ禍の初期、我々の知る世界が一瞬にして変わった時のことを思い出してほしい。

 他者とともにショックを受けると、その人たちとの絆が深まるという不思議な効果がある。あるCEOが最近、「最初の頃はまだよかった」と筆者に語った。同じ言葉を何百人という経営幹部から聞いた。「私たちは誰もが、この信じられないような経験を共有し、強烈な使命感に燃えていました。会社を守り、顧客を保護し、船が沈まないように、と。いまと比べれば、あの頃は楽なものでした」

 このような「ショックの段階」では、脳はその場を乗り切るために必要なことを行う。ショックが和らぎ、痛みが出てきた時が、問題の始まりなのだ。

 世界的な集団的トラウマの第2段階、すなわち「苦痛の段階」が始まったのは2020年4月頃、コロナ禍が1~2カ月では終わらないと明らかになった時だ。