
新しい職場で働き始める時は常に、期待と不安が入り混じるものだ。何が起きるか予測ができず、馴染みのない社内用語に物怖じして、まるで転校生になったかのような居心地の悪さを感じる。最初の数週間のぎこちなさを克服するには、その理由を理解することから始めなくてはならない。新しい環境で居心地のよさを感じるために、そして迎え入れる側が新しいメンバーの不安を和らげるために有効な3つの方法を紹介する。
新しい職場で働き始めることは刺激的だ。しかし、同時に居心地の悪さも感じる。いくつもの職を渡り歩いてきた人でも、転校生のような心細さを感じずにはいられない。全員の視線が自分に注がれているように思えてくる。
このような最初の数週間のぎこちなさを克服するには、どうすればよいのか。新しい職場で居心地よく感じるために、役立つ方法はあるのか。逆に、自分が新しいメンバーを迎え入れる側の場合、どのように振る舞うのがよいのか。
居心地の悪さを和らげるうえでは、新しい職場でそう感じる理由について、まず理解しておくことが有効だ。
職場で「予測エンジン」が働かない
居心地の悪さを生む最大の要因は、予測がつかないことにある。私たちの脳は、いわば「予測エンジン」だ。これから起きることを正確に予測したいと思っている。そのため、未来がどうなるかについて確信が持てない時、人は不安を感じる(外国旅行をしている最中より、帰国後に振り返った時のほうが楽しかったように感じることが多いのも、そのためだ)。
今後何が起きるのか確信が持てない時、私たちは行動を回避しようとする傾向があるが、それには2つの理由がある。1つは、不安を感じて、潜在的な脅威や惨事を避けようという心理が働くからだ。もう1つは、実際に何か悪い結果が生じた場合、人は概して、自分が「やらなかったこと」よりも「やったこと」を後悔するからだ。
それゆえ、私たちは「何もしないほうが無難だ」という発想になりやすい。その結果、予測がつきにくい環境では、新しい同僚に話しかけたり、自分の意見を述べたりすることが難しいと感じる場合がある。
このような沈黙に拍車をかけるのが、自分が間違ったことや不適切なことを言いはしないかという不安だ。私たちは実際、よく知っている人と話す時でも、誤解されかねないと感じる発言は控える傾向がある。
しかし実際のところ、人は相手の発した言葉そのものよりも、その背後にある意図に意識を向けるものだ。そのため、新しい同僚が会話を通じて、あなたにネガティブな印象を抱く可能性は低くなる。
なぜなら、あなたは自分が格好悪く見えるのではないかと心配しているかもしれないが、相手がそれに気づくことはほとんどないからだ。新しい同僚に話しかけて、わからないことがあれば質問をするのは、まったく問題ない。
逆に、あなたが新しいメンバーを迎え入れる側ならば、相手が職場に溶け込みやすくなるように、物事の予測可能性を高めてあげることだ。社内の他のメンバーに紹介したり、職場での1日の流れを教えたりする。
リモートワークをしている場合は、少なくとも1日に1回は新しいメンバーに連絡を入れることを忘れないように、自分でメモを残してしておく。慌ただしい日々を送るメンバーが、新しい職場で「迷子」にならないようにするためだ。