職場に(まだ)気を許せる仲間がいない
新しい職場で働き始めた時、最もつらいのは、まだ気を許せる仲間がいないことかもしれない。研究では、職場でポジティブな社会的つながりを持つことは、従業員の幸福度と職務満足度を高めるうえで、極めて大きな意味を持つことが示されている。
同僚のグループが過去に同じ経験をしたことについて語り合うのを見ると、自分が部外者だと感じたり、場合によっては孤立していると感じたりしかねない。
しかも、これまでに何度も引っ越しを経験した人を除けば、すでに確立された社会構造の中に溶け込む経験が豊富な人は、それほどいないだろう。一般に、大勢の新しい人と知り合うのは、大学入学時のように、他の人たちも同じ立場にあり、全員で新たな社会集団を築いていく場合に限られている。
新しいグループに馴染むには時間がかかること、そして誰もが最初は新参者だったことを覚えておいてほしい。まずは、何人かと話をすることから始めよう。その人たちのことを知り、職場でメンバーがどのように関わり合っているかを学ぶ。この職場では、みんなでコーヒーブレイクを楽しむのか。あるいは、ランチを一緒に食べるのだろうか。
グループの仲間入りをする簡単な方法は、誰かに紹介してもらうことだ。新しい同僚と知り合うために力になってほしいと頼むことを、躊躇する必要はない。自分の同僚のため、それも新しいメンバーのためであれば、たいていの場合は喜んで、そのような手助けをしてくれるはずだ。
職場に新しいメンバーを迎えた時は、人間関係に馴染む手助けをしよう。だからといって、その人物と親友になったり、職場以外で付き合ったりする必要はない。他のメンバーと知り合うのを助け、職場の会話に加われるようにするのだ。
組織でリモートワークが実践されている場合は特に、これらの取り組みが重要な意味を持つ。リモートワークの職場では、人と人との関わり方がどのようなものであるべきか、明確に定めておく必要がある。そうすることで、新しいメンバーが完全に排除される事態を回避することができる。新しいメンバーが他の人たちとつながり合えるようにすることは、定着率を高める助けにもなるはずだ。
* * *
結局のところ、新しい職場で居心地の悪さを気にしているのは、他の誰でもない、あなた自身であることを覚えておいてほしい。新しい同僚は忙しく、日々の業務を遂行しているだけだ。
幸い、6週間もすれば、最初に抱いていた不安のほとんどは解消する。新しい職場で新しい習慣が身につき、あなたを悩ませていた社内用語の少なくとも半分程度は理解できるようになるだろう。そして、職場で人間関係の構築を助けてくれる人も、何人か見つかっているはずだ。
"Why Starting a New Job Feels So Awkward," HBR.org, February 28, 2022.