職場の「言語」が理解できない
職場で発言する心の準備ができていても、新しい職場ではおそらく、馴染みのない専門用語が飛び交っているに違いない。どの会社にも、人や場所、物事に関する社内用語があるだけでなく、特定の部署や手続きについて独特の略語が用いられる。
新しい職場で過ごす最初の数週間は、使用される言語をある程度は理解できる外国に、いきなり放り込まれたかのように感じるかもしれない。言葉がまったくわからないわけではないため、自分が十分理解できないことにいら立ちを感じてしまうのだ。
周囲の同僚が知らない言葉を使うたびに、それを遮って説明を求めるのも居心地が悪い。加えて、社内用語に精通している人たちは、部外者にはまったく理解不能な言葉を次々と発する場合がある(「PARをOSPに送る前に、EVPPとVPRの了承を得なくてはならない」といった具合だ)。
そのため、通訳者がいると助けになる。よく使われる用語や略語をまとめた資料を作成してもらえないか、同僚の誰かに頼んでみよう(賢明な企業の場合、オンボーディングの資料として用語集を配布しているケースもある)。
そのうえで、知らない言葉に遭遇した時はメールやテキストメッセージで質問してもかまわないか、あらかじめ承諾を得ておくとよい。目の前の会話を完全には理解できなくても、このような「命綱」があると思えば、安心できるはずだ。
新しいメンバーを迎える側には、相手の立場になって考えることが欠かせない。職場に長くいると、自分がいかに社内用語に慣れているかを忘れがちだ。
自分が社内用語を使っていると思い当たる場合は、新しいメンバーの前であえてその言葉を使い、そのうえで言葉の意味を説明するとよい。そうすることで、彼らはその言葉に馴染めるようになり、まったく理解できないという事態を避けることができる。