フレキシブルやオープンな雇用モデルに適した仕事やタスクは何か
フレキシブルあるいはオープンな雇用モデルは、幅広い職種やタスクに有効であることが証明されている。アップワークで上位のスキルカテゴリーは、事務サポート(データ入力など比較的単純な作業を含む)とウェブやソフトウェアの開発だ。これらのスキルは、簡単に見つかるものから、希少性や専門性、報酬が高いものまで多岐にわたる。
トップコーダーのような他のプラットフォームは、イノベーションを起こすうえで非常に有益なモデルだと証明済みのコンテストが中心だ。典型的なトーナメントでは、高度なプログラミング、機械学習、より主観的なデザインなどの課題を競う。
オープンプラットフォームで提供されるスキルの幅を考えると、オープンタレントの活用が特に理にかなっている状況がいくつかある。具体的には、以下のような場合だ。
1. 内部人材を簡単に配置転換できない。
2. 内部人材を新たに雇用したり、既存の内部人材に残業代を支払ったりするよりも、外部人材のほうが低コストである。
3. 高度に専門的なスキルが必要で、社内では調達できない。
4. 例外的なソリューションを実行する際の見返りが大きい。
最初の3つの状況は、企業の人材にまつわる単純なニーズに対応しているが、4つ目の状況は、もう1つの重要な動機を強調している。多くの場合、外部人材は内部人材よりも優れているということだ。外部人材は、与えられた問題に対して多くの異なるアプローチやソリューションを提供でき、組織はその中から最適な選択肢を選ぶことができる。
しかし、おそらく企業がオープンタレントを採用する状況を考えるよりも重要なのは、タスク自体の特徴だ。企業がオープンタレントやフレキシブルタレントの活用方法を決定する前に、考慮すべき重要な要素がある。
1つは、プロジェクトに必要とされる企業固有の知識レベルによって、内部人材と外部人材の優位性が変わることだ。
フリーランサーは、データベース駆動型の複雑なウェブアプリケーションをゼロから構築することが可能(おそらく多くの企業の従業員より効率的に)だが、企業固有のコンテクスト(文脈)を必要とし、既存のアプリケーションと効果的に連動させる必要があるプロジェクトは、次の3つのいずれかが該当する。
(a)社内の従業員が橋渡しをする必要がある。
(b)フリーランサーが社内システムを学ぶ必要がある(社内の従業員よりも高コストの可能性がある)
(c)社内の従業員がフリーランサーの仕事を組み立てる統合的な役割を果たす。
次に、プロジェクトやタスクが反復的かどうかという問題がある。フリーランサーのスクリーニング、コンテストの設定、フルタイム従業員の雇用など、あらゆる雇用とオンボーディングには何らかのコストがかかるのだ。
プロジェクトやタスクが長期にわたって繰り返されるのであれば、これらのコストを節約するために、正規雇用に近い採用にシフトする。特に、会社固有のプロセスに関して新入社員をトレーニングする必要がある場合は、その方向に向かうべきだ。一方、求められているのが一般的なスキルで、企業固有のコンテクストをほとんど必要としない反復的なタスクは、オープンタレントに適している。
最後に、オープンタレントが提供するソリューションを組織全体で導入するための統合コストがある。このコストは、企業固有の知識をほとんど必要としないプロジェクトでは低い傾向にあり、企業固有のタスクに関するプロジェクトでは非常に高くつく可能性がある。
これらの要素を踏まえて、リモートワークは、マネジャーにとって採用、スクリーニング、モニタリングのコストを削減し、労働者にとって企業固有のコンテクストを理解する負担を軽減するような移行を早めていると考えられる。
このような状況は、いくつかの重要な変化を通じて生まれた。第1に、リモートワークに対する考え方が変化してきている。リモートポジションの採用担当マネジャーは、直接会ったことのない人とのやり取りに抵抗がなくなり、場所を問わず働けるようになり、オープンあるいはフレキシブルな採用ができるようになった。
第2に、企業がバーチャルなコミュニケーションツール(ビデオ通話や画面共有など)に投資したことで、リモートによるトラブルシューティングが容易になり、社外の人材でも連絡や相互のフィードバックが可能になった。
第3に、リモートワークとスラックなどのツールによって、企業はタスクの定義をより明確にし、プロセスや仕様を成文化せざるをえなくなり、企業固有の知識をほぼ持たない人材でも理解できる仕様書を書くことが容易になり、それが企業をオープン化させた。
では、企業は何から始めればよいのか。