●リーダーは、オフィスを「出社する価値のある場所」にすべきである

 かつてオフィスと仕事は同義だと考えられていたが、いまや仕事はどこからでもできると証明されたといえる。では、オフィスが担うべき役割とは何か。

 多くの組織が従業員に対して、出社勤務を再開するよう促していることは明らかだが、その根拠がはっきりしない。この点について、リーダーが適切に対応できなければ、従業員は出社を伴うハイブリッド勤務を完全にやめてしまいかねない。

 実際、ハイブリッド勤務をしている従業員の51%は、今後1年間にリモート勤務に完全に切り替えることを検討していると回答した。1年間にわたり、おおよそハイブリッド勤務を続けてきた結果、この働き方がうまくいくとはどうしても思えないのだ。彼らの38%は、最大の問題は出社するタイミングと理由がわからないことだと答えている。そのような根本的な問いについて、自分のチームに取り決めがあると答えたのは、28%にすぎない。

 重要なのは、従業員を単にオフィスに集めることではなく、その時間を最も有意義にすることだ。ハイブリッド会議の場合は、それをやることが特に重要となる。

 ハイブリッド勤務者の44%、リモート勤務者の43%が、ミーティングに出席しても、自分がその場に含まれているとは感じられないと回答した。にもかかわらず、ハイブリッド会議のルールを新たに定め、誰もがその場に参加し、自身の関与を実感できるようにした組織は、わずか27%だ。

 オフィスを出社する価値のある場所にして、全員にエンゲージメントを抱かせる経験を生み出すには、「誰が、どこで、なぜ対面で集まるのか」に関してリーダーが意図を持って行動するとともに、誰もが同じテーブルについているという実感を得るための新たなルールが必要になる。

 ●フレキシブルワークとは「常時オン」を意味するわけではない

 2020年3月以降、多くの人が、自分はこれまでになく仕事をしていると感じてきた。「ワーク・トレンド・インデックス」のデータは、それを証明している。

 匿名化されたマイクロソフト365の生産性パターンを見てみると、1日の平均労働時間(13%増)、時間外勤務と休日勤務(それぞれ28%増と14%増)、会議時間(252%増)、チャット発信(32%増)のいずれも一様に増加している。このようなトレンドは持続不可能だ。

 しかし、従業員が自分の時間に関してより強い意識を持ち、就業日の時間の使い方を見直そうとしていることを示す、明るい兆しもある。前年と比べて、月曜日のミーティング開始時間は遅くなり、金曜日の終業時間は早まり、昼食時間帯の会議は減少した。休暇がおおいに必要とされているが、休暇を取得する従業員も増え、カレンダーで「オフィス不在」とブロックされた部分は前年比で10%増えた。

 また、オフィスの廊下で交わす短時間の会話に代わるコミュニケーション手段も見つかっている。15分間のアドホックコールが増加し、いまではマイクロソフト・チームズ上で行われる全会議のおよそ60%を占めるまでになった。

 これらは、個々の従業員がバランスを維持し、フレキシブルワークを持続可能なものにするために、努力していることを示す明るい兆候だ。ただし、ある人の柔軟性が別の人に「常時オン」を強いることにならないよう、チームは一定の境界線を定めたルールを新たに確立する必要がある。