●挫折を敗北ではなく、変曲点と見なす
希望を構成する最後の要素であり、希望を持つことを諦めないための要素として、「どれほど鮮明にイメージし、最善の計画を立てたとしても、未来をコントロールしたり、予測したりすることはできない」という事実と折り合いをつける能力が挙げられる。物事が計画通りに進まない時に、「逆境とは希望を捨てる理由ではなく、変曲点である」と見なす能力を養うことだ。
演劇の世界に「幸運なことに、不運なことに」(Fortunately, Unfortunately)という即興ゲームがある。これは、一人の役者が「幸運なことに」(fortunately)という言葉で物語を始める。たとえば、「幸運なことに、地面に100ドル札が落ちていました」と言う。すると、次の役者が「不運なことに」(unfortunately)という言葉で、物語の続きを語る。「不運なことに、それを拾おうと屈んだら、ヘルニアになってしまいました」といった具合だ。そうして、交互に物語をつないでいく。
このゲームは、逆境の中にチャンスが隠れていることを思い出させてくれる。筆者が長年にわたり一緒に仕事をしてきた成功者の多くは、自分が失敗した瞬間に言及して「それなくして、いまの成功はなかった」と話す。
あなたも自分自身の「幸運なことに、不運なことに」ゲームを進めていきながら、物事が自分の計画通りにきちんと進まないことを見越しておかなければならない。
逆境に陥った時には、どうすればそれを変曲点にできるか、どうすれば「不運なこと」を「幸運なこと」に変えることができるか、自分自身に問いかける。また、逆境から何を学び、将来にどのように役立てるのかを問う。そのうえで最初の計画を捨て、それに代わる未来像を描き直すのだ。
いまよりもよい、現実的な未来をイメージし、その未来への道筋を見極め、物事が計画通りに進むことはめったにないという事実を受け入れた時、有用かつ強固な希望が育まれているはずだ。
"Sustaining Hope in Uncertain Times," HBR.org, March 15, 2022.





