●手放すことを学ぶ

 行き詰まりを打開するには、現状を手放すことも必要だ。この2年間で仕事への情熱が薄れていることを自覚していたものの、恐怖心からその仕事にしがみついてきた人もいるだろう。いまこそ、改革するか、手放すかを決断すべきだ。深い悲しみを経験した場合、たとえば大切な人を失ったり、孤立や孤独、恐怖や不安を味わったりした場合でも、ゆっくりと前に進むべき時がきた。

 社会から孤立したり、距離を置いたりする習慣が身についてしまった人も、再びコミュニティの一員であることを実感するために、その習慣を捨てる必要があるかもしれない。新しい土地に転居して2年、かつて気に入っていた都会のアパートに戻るべきかどうか、決断する必要があるかもしれない。今後の人生をより充実させ、満足のいくものにするために、いま何を手放せばよいだろうか。

 転職やキャリアチェンジを考えている人には、大退職時代のいまがチャンスだ。大きな変化をもたらす決断は常に慎重に検討すべきだが、新たな道に踏み出すべきサインが見られるのならば「何を」手放すかだけではなく、「何のために」手放すかを考えてみてはどうか。充実した仕事の未来とはどのようなものか、じっくり考えてから、計画的に次のステップへ進もう。

 ●他者を受け入れる

 あらゆる人が時を同じくして、人生とパーパスを再定義しようとしていることの最大のメリットは、「自分だけではない」と実感できることだろう。人生で最も重要な転機を迎えている人が、周囲にも大勢いるのだ。

 周囲の人々と積極的につながろう。他人の転機を支援し、あなた自身の転機について助言を求めるとよい。ピアメンタリング、読書会、転職支援グループ(オンラインでもよい)などに参加するのは、いまがまさに好機だ。転換期にある人にあなたが深い共感を覚えるように、周囲もまた変わろうとしているあなたに共感するはずだ。

 人生の転機を乗り切るに当たり、周囲を受け入れ、ともにパーパスの変化を受け入れよう。これは特に、転職を検討している場合に有効な手段だ。

 同じように転職を考えている友人や知人と「転職」グループを立ち上げたり、既存のグループに加わったり、あるいは転職したい分野の専門家の集会に参加したりするのもよいだろう。転職についてじっくり考え、理解し、それを意義あるものにするために、支援してくれる人を見つけよう。

 人生の大きな転機が訪れた時、恐怖を感じるかもしれない。新しいパーパスを見つけ出すのは簡単ではないだろう。多くの人生の転機と同様に、コロナ禍は歓迎すべきものでも、楽しいものでもなかった。誰もがいま直面している問題は、次にどうするか、である。私たちはコロナ後の未来に、いかにしてパーパスを受け入れることができるのか。


"Redefining Your Purpose in the Wake of the Pandemic," HBR.org, March 10, 2022.