
就職したり、結婚したり、定年を迎えたりと、人生には節目と呼べる出来事が何度か訪れ、自分のパーパスを見直すきっかけになることが多い。コロナ禍はまさにそうだ。この2年間、大きな変化を感じずに過ごした人は皆無だろう。では、コロナ禍を機に、自分自身のパーパスを見直すためにはどうすればよいのか。本稿では4つのポイントを紹介する。
この2年間、誰もが多くの変化を経験してきた。失業した人や転職した人、リモートワークのためや家族の近くに住むために転居した人もいるだろう。友人や家族と過ごす時間が増えた(あるいは減った)ことで生活が変化した人、重い病気にかかったり、大切な人を亡くしたりした人もいるのではないか。
人生には、いくつかの大きな節目がある。高校を卒業する。一人暮らしを始める。社会人になり、結婚し、子どもを持ち、やがて定年を迎える。このような人生の節目は、人生を大きく変えるきっかけになることが多い。
筆者が著書The HBR Guide to Crafting Your Purpose(未訳)で主張したように、パーパスは単数形(1つの大きなもの)ではなく、複数形(日々の生活に多くの意義を与えるもの)だ。
人生において、私たちのパーパスのほとんどは永続的ではなく、時間の経過とともに変化する。特に人生の構成や目的を根本的に見直す機会となる(前述のような)人生の節目に、パーパスは大きな転換点を迎える。
世界の様相を大きく変えたこの2年間の最大の特徴は、コロナ禍によって、誰もが同時に大きな人生の転機を経験したという点にある。ある人にとって、それは残酷な経験だっただろう。また、ある人にはチャンスをもたらしただろう。
いずれにせよ、2020年と2021年に大きな変化を経験せずに過ごした人は、世界中でほぼ皆無ではないだろうか。結果的に、少なくとも第二次世界大戦以来初めて、世界中でほぼすべての人が同時期に、自分たちのパーパスの源泉が大規模に転換する状況を迎えた。
これは、甚大かつ劇的な変化であり、大退職時代(グレート・レジグネーション)の原動力になっている。米国など主要国における人口動態に影響を及ぼし、政情不安を招き、精神的・肉体的な健康に対する大きなリスクを示し、文化的混乱をもたらし、誰もが私生活と仕事において「人生を測る物差し」を探し求めるようになったのだ。
コロナ禍は、あなたのパーパスに変化をもたらした。いま問われているのは、あなたがこの変化を意識的に受け入れ、そこから意図的かつ有意義な未来をつくり上げることができるかどうか、である。
これは簡単なことではない。省察と行動のプロセスは人それぞれだろう。それでも、この転換期をともに乗り越え、私生活と仕事の両方のあり方を再構築するために、以下の原則を提唱したい。