(2)複数の部門にまたがるオンボーディングチームを用意する

 従業員の職場体験を向上させたいならば、HR部門の枠を超えたオンボーディングプロセスを構築し、関連のあるチームや主要なステークホルダー、CEOをはじめ、社内の他の部門や人々を巻き込む必要がある。

 マネジャーが新規採用者をチームに紹介するのは、早ければ早いほどよい。紹介する前に、なぜその人物が採用され、チームや組織全体の中でどのような役割を果たすことになるかを、チームに伝えておくことが重要だ。チームの強固な関係の構築を支援することは、時間の面で大きな初期投資になるかもしれないが、従業員の生産性とパフォーマンスを高めるのに役立つ。

 新規採用者が、直属のチーム以外のステークホルダーとも一緒に仕事をする機会があることを覚えておこう。

 ただし、新規採用者にとって、自分が所属するチーム以外の人々とどのように連携することになるか、またどのようにつながりを持つのが最善なのかが、必ずしも明白なわけではない。マネジャーは、そのような関係を構築する一助として、重要な関係者のリストを作成し、彼らがどのような人物であり、会社にとってどのような重要性を持つかを記載することもできる。

 このようにつながりを円滑にすることは、マネジャーの仕事である。ステークホルダーと連絡を取り、新規採用者のネットワーキングが順調に進んでいることを確認するための時間をスケジュールに組み込もう。

 しばしば見過ごされがちだが、非常に重要なことは、新規採用者をCEOに引き合わせることだ。小規模な組織ならば、新規採用者と会社のリーダーが1対1またはグループで顔を合わせるコーヒータイムを企画する。会社の規模や地理的・時間的制約のために、それが現実的でない場合は、入社したばかりの従業員とエグゼクティブチーム、CEOが集うタウンホールミーティングや特別なパーティを開催することも考えられる。

 新規採用者はCEOとつながりを持つことで、会社の一員として受け入れられていることを実感し、自分の成長は会社のためにも重要であると強く認識できるはずだ。

 さらに、CEOと会うことで、会社の文化や期待できそうな従業員体験を直接確認することができる。CEOとの最初の出会いが素晴らしいものであれば、それは従業員の心に長く残り、帰属意識やコミットメントにポジティブな影響を与え、ひいては定着率とパフォーマンスの向上につながる。