(3)リモートワークとハイブリッドワークを受け入れる

 多くの企業は引き続き、従業員にリモートワークの選択を認めている。そのような柔軟性が、企業と従業員の両者に恩恵をもたらすと気づいたからだ。リモートワークという選択肢は、ワクチンを接種していない人や、免疫不全など感染リスクの高い人にとって、とりわけ重要な意味を持つ。

 したがって、ワクチン未接種者および高リスク者向けの指針を強化してもよいだろう。具体的には、リモート勤務の継続を呼びかけたり、屋内でのマスク着用を求めたり、新型コロナウイルスの検査を実施したり、といった対応が考えられる。

 企業はこれまでの経験から、ハイブリッドワークやリモートワークであっても、従業員の間にコミュニティを築き、コミュニケーションを促す方法をいくつも見出している。たとえば、週の決まった日を出社日に決めて、従業員がいっせいにオフィスに集まる時間を設けたり、特別なイベントや全従業員会議を開催したりして、感染リスクを抑えつつ、コミュニティを構築するなどだ。

 フレキシブルワークを続ける企業は、人材を惹きつけ、定着させることができる。労働者はこのような困難な時期には、適応力があり、安定性を生み出せる企業で働きたいと考えるからだ。

(4)新型コロナ対策の最新計画を常に周知徹底する

 今後、感染が拡大したり、市中でアウトブレイクが発生したりする可能性が高いことを想定すると、従業員とコミュニケーションを取り続けることは極めて重要だ。その重要性は、現在のように市中感染率が低い状況でも変わらない。

 筆者らが2021年12月と2022年1月に実施した調査によれば、従業員はパンデミックの間、勤務先企業が自分たちの安全を守ってくれたと評価している。加えて、職場で自分たちの安全が守られていると感じる従業員は、エンゲージメントが高く、生産性も高く、離職率が低いことがわかっている。

 一方で、感染対策を再導入する必要はないと考える従業員もいるかもしれない。そのような状況では、マネジャーやリーダーが積極的にコミュニケーションを図り、従業員の期待をコントロールすることが不可欠だ。

 企業は、市中感染率が低い間は基準を緩和してもよいと認めつつ、従業員の安全を守るために自社の計画を定期的に更新し、通知することもできる。そのようなコミュニケーションを定期的に、地域の実情に合わせて間隔を空けて行えばよい。定期的にコミュニケーションを取るようにしておけば、状況が変わっても、その時点で迅速に、全社レベルの対応を取ることができるだろう。

 リーダーが従業員の信用と信頼を獲得するには、長い年数を要する。しかし、信頼を失うまでには数週間、あるいは数日しかかからない。新型コロナ対策について、明確かつ率直な言葉で、適切に策定された計画を従業員に伝えることは、リーダーが従業員の信頼を維持し、彼らのレジリエンスを守り、将来のさらなる試練に対処するための重要な一歩になるだろう。

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 感染リスクが低い状態が維持され、オミクロン変異体の記憶がまだ生々しく残るタイミングを上手に利用することで、将来のパンデミックがもたらすあらゆるリスクに対処するためのシステムと手順を定めることができる。それにより、企業は新型コロナ対策に忙殺されることなく、今後の経済的課題や地政学的課題に集中できるだろう。

 あらかじめ柔軟性のある計画を策定しておくことで、将来どのようなことが起きようと、競合企業の先を行くような競争優位を構築できるのだ。


"Prepare Your Company for the Next Covid Wave," HBR.org, May 12, 2022.