●みずから加担していないか検証する

 たしかに、あなたの部下は時間管理が下手かもしれない。しかし、あなた自身の時間管理スキルにも難があり、それが問題の一因になっていないかどうか検証することが必要だ。

 たとえば、期限の直前になって仕事を頼んだり、明確な指示を与えていなかったり、優先順位を設定していなかったり、フォローアップの仕組みを整えていなかったり、フィードバックを忘れていたりするのではないか。もしそうならば、あなた自身の行動もこの状況の要因となっている可能性がある。

 あるいは部下に対して、メールやチャット、その他のチャネルで、コミュニケーションを四六時中求めているかもしれない。そのせいで部下が必要な境界線を設定できず、集中力のいる仕事をこなせていないのだとすれば、部下が困難な状況に陥っている責任の一端は、あなたにもある。

 このような問題を事前に把握しておけば、自分にも改善の余地があったことを認識したうえで、フィードバックの会話を始めることができるだろう。

 ●ストレスをピンポイントで把握する

 筆者は2022年に入ってすぐ、外部の業務委託先の対応に強いストレスを感じたことがあった。依頼した大規模プロジェクトの完成が、ひどく遅れていたのだ。ある日、そのことを考えていると、プロジェクトの中で実際に重要なのは、わずか2、3項目であることに気づいた。それらが完了すれば、筆者のストレスはぐっと減るし、他の部分はさらに時間をかけても構わないのだった。

 最も重要なニーズを明確にしたことで、筆者のストレスは大幅に緩和した。そしてプロジェクト全体がまだ完了していない状況であっても、最優先で納めてほしいものを伝えることができた。

 部下の時間管理能力が不足していることで、具体的にどのような問題があなたに生じているのか、時間をかけてじっくりと考えてみよう。

 たとえば、重要な定例会議やプレゼンテーションに必要なものが入手できないのか。間際になってチェックを求められることにストレスを感じているのか。部下の行動に起因する時間的・経済的負担を感じているのか。あるいは、進捗状況について適切なコミュニケーションが取れていないために、不安を感じているのか。

 自分の側に生じる問題がはっきりすれば、フィードバックの焦点を絞ることができる。

 ●あなたにとって何が必要かを伝える

 あなたにとっての問題点が明らかになったら、何が、いつまでに、なぜ必要なのかを部下に冷静に伝える。部下が首尾よく仕事に取り組めるように、上司であるあなたにどのようなサポートを求めているのか、尋ねることもできるだろう。

 部下のせいで生じたストレスや部下の問題点を思うと、ついフラストレーションをぶちまけたくなるかもしれないが、情け容赦のないやり方は、たいてい裏目に出る。部下はあなたの怒りに圧倒されて心を閉ざしてしまったり、自己弁護に走ったり、はぐらかそうとしたりするかもしれない。

 まずは深呼吸をしよう。そして、部下に悪気はなく、単に時間管理に苦戦しているだけだということを思い出すことだ。