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ハイブリッドワークはさまざまな機会をもたらした一方で、その課題も明らかになり始めている。見直しを迫られている取り組みの一つが、リーダーシップ開発だ。ハイブリッドな環境では、従来のように「センスメイキング」「実験」「自己発見」を独立して考えるのではなく、それぞれの行動を結び付けることが重要だと筆者らは語る。本稿では、ハイブリッドワークで効果的なリーダーシップ開発を実現する方法を紹介する。


 世界中の組織や個人が、対面とバーチャルワークの融合に慣れ、ハイブリッドワークがもたらす機会とリスクについて多くのことを学んでいる。その重大な関心事の一つが、リーダーシップ開発だ。

 経営幹部(エグゼクティブ)が仕事を通じた学習を実現する効果的な方法のいくつかは──セレンディピティをもたらす交流や非公式なフィードバックなど──バーチャルやハイブリッドな文脈では難しい面もある。一方で、技術的な向上が開発プログラムを設計する際の可能性を広げている。

 いまこそ、リーダーシップ開発を再編する絶好の機会なのかもしれない。1週間の座学といった基本モデルから、より経験に即した応用可能なモデルへと移行し、その一部をバーチャルに変えるのだ。

 その第一歩は、リーダーの成長を実現するために、「学習の70%は実践(OJE: On-the-Job Experience)、20%は(他者との交流から得る)フィードバックと自己認識の向上、10%は体系的なトレーニングによる」という定説を超えた、学習方法を理解することだ。そして、筆者らが過去3年間で行った定量・定性調査から、このプロセスには次の3つの行動に重点を置いた、新しく、より効果的なフレームワークが存在することがわかった。

・センスメイキング:自分を取り巻くビジネスや組織の仕組み、他者と自分との関わりを理解する。

・実験:講義や同僚、個人的経験から得たアイデアを試す。

・自己発見:職場において自分のアイデンティティを見つける。

 実際には、視点を転換するということだ。リーダーシップ開発の3つの要素ではなく、それらをつなぐ経路に注目するのだ。たとえば、試行錯誤しながら仕事を通じて学ぶこともできる。しかし、同僚と働いた経験を振り返ったり(70%と20%を結び付ける)、講義で知ったばかりのアイデアを試したり(10%と70%を結び付ける)すれば、その学習効果は大きく高まる。